守りたい ページ45
ーパンジー視点ー
監督生のジェマ先輩は私に真剣な顔をして近づいてきた。
何もやらかした覚えはなかったのだけれど、条件反射的に体がこわばっていた。
「天羽ちゃんの友人だよね、パーキンソンちゃん
…彼女を外に出すのと、新聞を見せるのは少し危険だ。」
もう今日発刊されたものは読んだ？
問われて私は首を振った。新聞はいつも大広間で受け取る自分のを読むことが大半。
そう言われてみればいつもより上の空気味でざわつく寮生達が多いことに気づく。
教育、躾をされてきた者が多いこの寮ではあまり物事を大きくしないのが暗黙の了解となっており、それが身内のことならばなおさらで、Aに見せてはいけないという新聞がどのようなものか気になった。
昨日の課題関係だろうとは推測できたけれど、彼女は何かをしたというわけではなかったし、セドリックと近かったのは女子生徒内では噂はされていたけれど、新聞の記事にするほどのことではないはず。
ローテーブルの新聞紙は、幾度となく読まれたのか普段よりよれていた。
一番開かれていたであろう癖のついたページを開く。
私は声が出なかった。
キスをしている親友とセドリック・ディゴリーの写真でページの半分くらいが埋まっていたから。
何か理由があるのかとも思ったけど、Aも自ら手を回しているのを見ると、とりあえず無理やりではないらしい。
どこからどうみても深いキスをしている写真の中の二人は体を密着させ、一心不乱に唇を合わせて…
いつの間にか横に立っていたドラコが目を見開いていた。
信じられないと言わんばかりに写真を凝視し、記事を目で追う。
少ししてから顔を歪めた彼は私の手から紙を抜き取り、丸めて暖炉に放った。
一瞬にして火がついたそれは、真っ黒になって写真は見えなくなる。
「…レギュラスの所に行ってくる。
パンジーはAのところに行ってきてくれ、ダフネとミリセントも一緒に…朝ごはんを食べて…
今外に出せば格好の的になるのは目に見えているから
…友人の彼らを、守りたい」
私も同意した。
心から大切に思う彼女達を私は守りたかった。
「えぇ、兄弟を守ってこそのスリザリン生よ。」
ジェマ先輩は本当に誇りに思うと言って、談話室にいる他の生徒の方へと行った。
談話室の外に出なくてはいけなくて、記事のことを知ることになっても…
今がその時ではない、私達はそう判断した。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
