動向 ページ37
『ハリー。
同点一位おめでとうございます。』
髪の毛から水滴を落としながらハリーは微笑んだ。
ガブリエルとロンを同時に助けた彼はとても勇敢だった。
「うん、ありがとう。
Aも無事そうでよかった。ガタガタ震えてたから」
後ろに立つ人影に気付いたハリーはそちらに目を向けた。
『あぁ、この人はバーテミウス・クラウチさん。
国際魔法協力部部長さんで、トライウィザードの責任者さんです。』
照れたように頬をぽりぽりとかいた。
右手をハリーに差し出したクラウチ氏は挨拶できて嬉しそうに目を細める。
「よろしく、ハリー
君の活躍はかねがね聞いているよ。
今回の課題での行動は勇敢だった。
是非、他の生徒たちの見本になって欲しい。」
ハリーは褒められたことが嬉しいのかはにかんでありがとう、と言った。
どうやら二人で話したいらしく、私はクラウチ氏に会釈をして城の方へ歩くふりをした。
途中で身代わりを作り出して小道を歩かせる。
自分は魔封じの盾の光の屈折を利用して気配もろとも姿を消す。
少し硬い土の上を歩いてバーティから数メートル離れた木陰に隠れ、彼の動向を探る。
バーティがいるところからは話し声が聞こえていないのか、たまにチラチラと彼らを見ていて、それはつまり声が途切れ途切れ聞こえてはいるが、本当にそこにいるかよくわからない位置にいる、ということ…
その仮説が正しければバーティはクラウチ氏の"インペリオ"には気付いてないはず。
少し聞こえていたとしても、ただのダンブルドア先生を若干ディスっただけだと認識されているはずである。
体はクラウチ氏のおかげですっかり乾いていて、水から出た時よりも比べ物にならないほど体が温まっていた。
セドリックのマスタードイエローのパーカーに目をやった。
萌え袖どころか過剰なロングスリーブといったところ…
可愛い域を超えてもう”あ、寒いからお父さんの借りてきたの？身長差やばいね”レベルである。
こう…彼シャツ、という萌え要素(？)は多すぎるといけないのだろう。
とはいえ、このサイズは彼が着ても大きめなのでは…？
あぁ、でも彼もしかしたら着痩せするタイプなのかも。
そんな考えをしていれば、ハリーの元へバーティが歩き出した。
いかにも今きました、帰るよ。みたいな雰囲気で…
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
