【ハリーポッター】吸血鬼少女とあの方【８章】 (ページ36)

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服従ページ36

橋を渡った向こうにはバーテミウス・クラウチシニアが立っていた。

私を見下ろすように見やる彼は杖を一振りしてソックスとローファーをはかせた。

キャミソールはどこへ消えたのか、ワンピースが着せられているが下着は未だ冷たい。
下着が変えられていても、ちょっと引くけど…

刺すような風が吹いて私の腕は震えた。

セドリックにゆっくり下ろしてもらい、彼の持つ大きなパーカーに腕を通された。

「着て行きなよ。
僕はタオルがあるから。

また広間で会おう」

彼はまた道に戻って城を目指した。

ゆっくりと木の間を歩いてさっきまで浸かっていた湖の波打ち際の近くにたった。

「いやはや…弱ったというのは本当らしいな」

哀れみを含んだ彼の言い方に私は顔を背けた。

それこそ彼の息子は死喰い人で今潜入しているのだから、貴方の方が哀れに感じる。
言わないけれど。

『ファッジさんにね。
まぁ、別にいいんですけどどうも調子が出ませんで…そういう貴方はあまりおかわりなさそうですね、バーティ？』

近くの気配が少し揺らいだ気がした。

ムーディの方のバーティが潜んでいるのだろうか？

「んまぁ…な
ペットに囲まれながら家にあれだけいれば大丈夫にもなるさ」

その言葉に少し違和感を感じた。

いきなりペットの話をしだすか？

クラウチ氏は少し目配せしながら私を見る。
何かを伝えようとしているのが自然だ。

でも、何を？

『そういえば、ダンブルドア先生がお見舞いにだか何かを送ったみたいですけど…あの人のことだからロクなものではないのでは？』

少し苦笑して聞けば、彼は意図を察してくれたのか、と安心した顔を一瞬見せた。

「リンゴだよ、今回は普通のものでよかった。」

やれやれ、といった風に首を振るクラウチ氏は湖の方へとゆっくり歩いた。
ダンブルドア先生と話していたのか、遅れて会場から出てきたハリーが見える。

すでに生徒は帰っていったので、彼の姿はよく見えた。

『ふーん…あの人もまともな物遅れるんですね。
この前はロンが例の噛み付くキャンディーの被害にあっていました。

あれを箱買いするのもあの人くらいですよね。』

クラウチ氏は苦笑した。
彼もその被害にあったふりをするように指を撫でた。

「親指を噛まれてね…今でも思い出すよ」

彼はやけに真剣な顔で頷いた。

…インペリオ。
彼の文頭の文字を組み合わせれば服従呪文になった。

　
　