バーティ ページ22
楽しそうな会話をしているなあ、あぁ？
救いと絶望の不協和音。
この状況を打開して欲しいとは思ったが、そうじゃない。
少なくともここでムーディーの嫌味が投入されるなど誰が想像したことだろうか？
バーティは私が二人の男子生徒に取り合いされるアホな女と言わんばかりに見下した声を出した。
「そんなことしている暇があるとはな、ディゴリー！
第二の課題の対策はとっくに立てたんだろうな？」
ふんっと鼻で大きな息を吐き出した。
ぐるぐると回り続けていた義眼はセドリックを舐め回すように上下した。
「おい、天羽もこんな寒い図書館にいるとまた体調を崩すんじゃあないのか？
俺の授業を受けられないのはかわいそうだ。健康管理、しっかりするんだな」
訳すると、体調を崩すと的がいなくなるからそんなことしてないで早く帰れ。
というところだろう。
私の隣にたつバーティはキッとセドリックを睨みつけた。
「…しょうがない。
確かに冷える図書館にAをとどめておくのは可哀想だからね。
ただ、レギュラス、これだけは覚えていてほしい。
彼女を幸せにできるのが、どっちなのか。」
きびすを返しセドリックはマントを翻した。
黄色い裏地がひらりと角を曲がった時に見えた。
詰まっていた息を静かにはくとバーティは防音呪文と錯覚呪文を無言でかけた。
「お前ら随分とたのしそうだな？」
バーティの声が聞こえる。
ちょうどポリジュース薬の効果が切れたのか本来の姿が現れはじめた。
重苦しい茶色い服ではなく、体に沿うようなシャツにベスト、同じ柄のスラックス。
大半が彼を凝視するだろう。
顔面偏差値が無駄に高いバーティは上から見下ろし、口角を釣り上げた。
「俺があのお方のために働いている間、お前らは呑気に学校生活か。
魔法省への干渉、あの忌々しい大臣に力も封じられ…
Aは役立たずだなぁ？」
金縛りがかけられる。
レギュラスも同様で苦しそうに胸の前に手を持ってきていた。
ゆるりと頬を撫でられ虫酸が走る。
ペロリと舐める舌は不快さを増幅させ、突然恐怖を煽り立てた。
膝に力が入らなくなり、ぺたりと床に座り込めば、冷たい視線が刺さる。
槍に刺されているかのように痛い。
「ほんと、お前は弱くなったな。
役ただずにもほどがある」
その瞬間、彼は右足を私の鳩尾に打ち込んだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
