結界 ページ11
ぐるりと回りの景色が飲み込まれ、すぐさま森が現れる。
軽い眩暈を感じながらフィニの腕から離れた。
『送ってくれてありがとうございます。
なにぶん魔法を使いにくい状況にあるので…』
彼は頷き、背中を押す。
ピシリと背筋を伸ばし、ゆっくりと上体を曲げた。
「いってらっしゃいませ、Aさん」
いってきます、一言返して一歩森の方へと踏み込むと、何かに入り込む感覚。
人払いと守護の結界を越えればフィニは私を認識をできなくなり一度見回してから姿くらましで家に帰った様だ。
さくりと草に足を踏み入れ、まだ雪の被っている木を仰いだ。
風で木が揺れていい音がする…
口に指を当て、少し魔力を込めながら指笛を鳴らす。
遠くまで響き渡ったそれは、特定のターゲットにしか届かない信号の様なものである。
数分待てば向こうのほうから蹄の音が聞こえてくる。
木にもたれかかった私を見下ろすのはケンタウルスのフィレンツェ。
景色と同じ銀色の髪の毛をはためかせ、筋肉質の上半身をこちらへ向けた。
「お嬢さん、お久しぶりですね」
低い声が少し響く。
珍しく吸血鬼だという私にも優しくしてくれるフィレンツェ。
そもそもケンタウルスは他との関わり合いを持つのが嫌いだというのに。
『フィレンツェ、お久しぶりです。きてくれてありがとうございます
城に行くのを手伝ってはもらえませんか？』
ホグワーツ特急は休みの前後のみにしかはしらない。
というのも、風邪ならすぐに治せるし、重病から回復したらホグワーツから先生が迎えにやってくることもあるからだ。
「…闇の力が強まってきているのは星を見たら明らかでしたが、貴女も相当にがんじがらめの様だ…
城の近くまででよければ、乗せていきますよ」
星占いを得意としているケンタウルスは大まかなことならなんでもわかる。
その中でもフィレンツェは特にその能力が高かった。
すぐに察してくれた彼には頭が上がらない。
でも今、ダンブルドア先生やセブルスと一緒に帰還したことがバーティにバレれば私への疑いに拍車がかかるだろう。
ついでに殺されそうだ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年1月10日 2時
