記憶 ページ6
今回は復活するの早かったなとか思いながら、自分の部屋でもこもこした部屋着で書類をあさっていた。
私が腰掛けるカウチの前にはダンブルドア先生およびにこの部屋から消え去ってほしい大臣が座っている。
『ここに呼んだのはですね、この記憶を見てほしいからです。
ハリーたちが見たことを信じれないというならば、私のは信じれるでしょう？』
１３歳の記憶は信じられない、と言ってハリーの話を聞くのを拒否したのは大臣自身だ。４００歳の記憶なら信じられよう。
…あ、反対に物忘れがひどそうって断られそう
「まぁ、お前を嫌いなのはこの際抜きにしよう。
それなりの対価ももらったしな」
そう。
この話を持ち掛けたとき、条件に魔法省の仕事の一角をもう少し引き受けることにしたのだ。
なんて面倒くさい。ああ、面倒くさい。
まぁ、権力と引き換えに私は管理下に置かれるわけだけれど、あちらも面倒ごとから解放されるのでさほど悪くはない取引なんだろう。
「記憶を見せなくとも、これでも開心術は心得ているし、言いたいことはわかっている。
だが、シリウス・ブラックはもう全国民にその"誤情報"が真実だと思われている。
それを覆すのは、簡単ではない話だ。」
魔法で心や記憶を書き換えるには、大きな情報すぎる、と大臣は付け足した。
『えぇ、私もそう思います。
なので、適当に噂をもみ消すことは無理でも、薄れさせることくらいあなた方は可能でしょ？』
たしかにあそこまで世間を騒がせたシリウスの顔や情報は、他の記憶と絡み合っていて、消すと妙な空間ができそうで厄介なのである。
もちろん、その空間ごと靄をかけることも可能ではあろうが、それは少人数な場合だけでイギリス付近に住む全一般魔女や魔法使いとなれば相当な数。
そして魔法が得意な者たちはその術にかかってくれない可能性もある。
レギュラスのこともある手前、あまりこのまま罪をかぶせたままでいたくない。
それに、私としても悪友…いや、親友が疑われたままというのは心苦しい。
「しょうがない。
最善は尽くそう。」
大臣はむすっとした顔で承諾する。
「…わしはここにいる意味あったのかの？」
「私の暴走止めにとでも思ったのでは？」
大臣がそういえば、ダンブルドア先生は肩をすくめ、少し声に出して笑った。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2017年9月8日 7時
