終幕 ページ5
近くで大臣とセブルスの声が聞こえてくる。
どうもここは医務室で、まだそう時間は立っていないらしい。
いたるところに傷がついているレギュラスが私の隣のベットに腰掛けて手当てを受けているのが見える。
消毒液が染みるのか、顔をしかめていた。
マダムに礼を言うその表情は、叫びの屋敷で見たときよりはるかに晴れていて、ほっと溜息をつく。
「A…」
ん、と少し息を漏らして返事し、起き上がった。
パーテーションで区切られていて、周りの人たちには気づかれていないようだった。
「僕、ごめんなさい。
貴女、兄さんとペディグリューの名が見えて、自分の感情がコントロールできなくなって…」
レギュラスは目線を床のタイルにやった。
鉛の重量をつけられている感覚の腕を上げ、レギュラスの指を握る。
普段より冷たく感じる彼の手を温めるように、ゆっくりと指先でさする。
口をキュッと結んだ彼は堪えるように少し震えている。
『レギュラスが、本当はあんな人ではないと、私は知っていますから。
きっと、混乱したんでしょう？』
彼はゆっくりとうなずいた。
「…兄さんが捕まえられているの柵の強化魔術はといてきました。
ハーマイオニーたちに少しヒントを与えて、彼女たちは過去に戻りついさっき帰ってきました。
つまり、もうすべては終わりました。」
ならもうできることは何もないないですね、とつぶやいた。
レギュラスがステンドグラスごしの夜空を見上げる。
きっとああ言っていたとはいえど、ブラック姓をもつ自分以外の最後の人物、それも同じ血を持つ兄弟であるシリウスと、もうすこし一緒にいたいと、そう思っているのだろう。
それも今は叶わない。もう少し待てば、また…きっと。
物憂げな彼の目線に気づかないふりをして、私は再び布団に戻る。
重い体を横たわらせ、首についている冷たい金属状のものに触れた。
無意識に再び魔力を封印したらしい。
ゆっくりと瞼を閉じ、眠りについた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2017年9月8日 7時
