お屋敷、お仕事 ページ11
『ねぇ、フィニ』
鏡の前で白髪の部分をなでている彼に声をかける。
「何でしょう？」
振り向き私のほうを見るフィニは冬に帰ってきた時よりも断然柔らかく微笑んでいた。
この近所の家の魔女たちと交流があるようで、お屋敷管理の横でお茶や料理を一緒にしているそう。楽しんでくれいるようで何よりである。
これなら彼が命を絶たないようにとかけておいた術ももう解いておいてよさそうだ。
彼は暖炉の上の鏡から離れ、私とレギュラスの座るソファーの前に立った。
『何でしたっけ、あ、そうだ。
ハリーたち３人とシユウ先輩が来週来るので、その用意を、と思いまして。』
「そうでしたか。
かしこまりました。」
お友達を呼ぶのは良いことです、と親のような温かい笑みで私を見てキッチンのほうへ歩いて行く。
廊下につづくドアに手をかけたところで私はもう一度彼を呼ぶ。
『フィニ、レギュラス
私は、貴方達に少し過去のことを話したほうがいいかもしれませんね。』
そばにいるのだから、と付け加えれば彼は少し目を丸くした。
「Aさんの好きな時に、話してください。
今のあなたの顔は少し無理しているような表情ですよ。
いつでも、話なら聞きますから」
お茶を用意しますね、と彼は出て行った。
「フィニアンさんの言う通りですよ。僕も、いつでも話を聞きますから
焦らないで。」
…確かに、そばにいるなら早く言わねばと焦った部分もあった。
フィニはあまり長い付き合いでないとしても、こうやって家を管理していくにあたって何かと知ってくれていた方がいいかもしれない。それに、
特にレギュラスはもう３０年近く一緒にいるのだから彼には言わなけらばいけない。
そう
ジェームス達にさえ教えなかった私の過去を。
…４００年ほど前私の人生を変えたあの日のことを。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2017年9月8日 7時
