ディゴリー家 ページ12
ードラコ視点ー
第二次魔法大戦が終わり、城の修復を終えた数日後のことだ。
うちで預かっていたエルネスト、もといセドリック・ディゴリーが苦しみ始めたのは。
強い飢餓感からか喉元を抑えて、瞳がゆらりと赤く光る。
「気にしないでくれ…離脱症状があるとは、聞いていたから」
気を紛らわすようにコップ一杯の水を彼は飲み干した。
「僕でよければ簡単な魔法薬くらいは作れると思うが…」
「迷惑はかけられない…と言いたいところだけど、正直どっちのほうが迷惑かわからないな」
このまま理性を失ってしまえばどうなるか分かったことじゃないし、鎮静剤をもらえるかな…
とのことだったので、念のためドアに錠と結界をかけてから調合室へと向かう。
危険な薬草などはこの間の魔法省の取り調べで持っていかれたけど、鎮静剤くらいなら…おう…
この材料じゃ擦りむいた膝の痛みも消せるかどうかだな…
まったく、今はあまり魔法省に目を付けられることはしたくないのだが…
ーーーーーー
「ほら、持ってきたぞ。
安らぎの水薬だ。」
銀製のゴブレットに入った透明の液体をセドリックは少し不安そうに覗いた。
「…僕は一応魔法薬学で成績優秀者だったとだけ言っておく。」
表情はあまり改善されなかったが、ありがとうと言って彼は飲み干した。
少し経つと彼の瞳はどろりと濁ったように光を失い、意識が揺れている船のように不安定になった。
正常な反応だ。
ベッドに寝ているセドリックの寝息意外にはこの屋敷からは何も聞こえない。
両親は魔法省で証言をし、取り調べを受け、そして空いた時間に領地の視察に出たり復興支援を行っている。
僕は癒者としての研修が始まるまではゆっくりとしていなさいと言われたのでここにいる。レギュラスに押し付けられたセドリックの面倒を見ながら。
僕の友人たちの家の状況もそう変わらない。
純血主義を掲げていた家は多かれ少なかれ魔法省から役員を送られてきていて、話をすることとなっている。
魔法省自体も人員不足だというのによく回っているものだ。
まぁ、今やらなければ証拠が消されてしまうというのもあるだろうけれど。
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スミレ(プロフ) - 時間をかけて楽しみながら読むことができました。すごくいい作品に出会えて嬉しいです ありがとうございました (8月22日 2時) (
レス) @page12 id: aadb1f51a4 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - 読んでいて楽しかった。ありがとう (2023年4月3日 0時) (レス) @page24 id: 482089f0ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2021年11月24日 20時
