庭 ページ6
お久しぶりですヤックスリー。
マルフォイ邸の庭を見物していた大柄金髪の彼に声をかけた。
きっちりした仕事用のローブを身に纏った彼は私の声に反応して振り向く。
どこかの政治家のような、上っ面の笑みを浮かべて同じく会釈をした。
『魔法省の方もお忙しそうですね。
こちらに来ていても大丈夫なのですか？』
「調べる対象が多すぎてね。私がどこにいっているかまでは調べる余裕がないようだ。
それにハリー・ポッターの保護もね。」
彼は面白そうにせせら笑った。
どこまで間抜けなのだと言いたそうだ。
とは言え全く持ってその通り。
ダンブルドア先生を失った魔法界は崩壊の危機を迎えていた。
魔法省は機能しなくなってくるし、魔法省で働く者も誰の指示を聞いて、何をしていれば一番いいのか決めあぐねているようだ。
人間誰しもが正義感の塊ではなく、その時の強い者にしたがって難を逃れようとしているのが目に見えるようで少し滑稽だった。それはそれで弱々しくて可愛い気もするのだけど。
ポテポテと自由気ままに庭を散歩する白い孔雀は、いつもと同じくらい高貴なオーラで、この屋敷の家主一家とは真反対とも言えそうだ。
よってきたその子の羽を少し触らせてもらって、気が向かなくなったのかまた何処かへさっていく後ろ姿を見つめる。
「保護だの捜査だの…魔法省はどこかしらいつも抜けていますよね。
まぁ…そうでなければ僕達がここに集まることもないんですけど。」
ヤックスリーはそう言ったレギュラスの意見に全くもって同意するように面白そうに笑った。
「確かに、私たちがこうやって自由にしていられるのもある意味あの魔法省のおかげですな。」
一転して真面目な顔で、こう呟いた。
あのお方はこれから魔法省をのっとるおつもりです。
そうすれば私達死喰い人はもちろん、吸血鬼の貴女にとっても生きやすい時代が来るのではないでしょうか？
やっぱり決行するおつもりらしい。
幸い、魔法省での管理職についている私は作戦に参加命令は降っていないけれど。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
