【ハリーポッター】吸血鬼少女は逃亡する【１４章】 (ページ28)

今日:33 hit、昨日:1 hit、合計:18,265 hit

悪阻ページ28

ードラコ視点ー

「ローズヒップとジンジャーのハーブティーだそうだ。
飲めそうなら…」

顔を青くしたAはソファーのアームレストに体を預けている。
やんわりと微笑んだ彼女はいただきます、と答えて上体を起こした。

魔法でポットを浮かせているので、手で書類を拾う。
外に漏らしたらいけない内容なものでないといいけどと思いながら、目に入ってしまう字。
"TOP SECRET"

ハーブティーを飲んでいる彼女をいいことに、僕は好奇心でその次のページを静かにめくる。

…そこにあったのは、僕が期待していたようななんらかの可決やら、今後の魔法省の方針とかについてではない。
死亡した魔法生物や人物の名前が綴られていた。

もう1ページ、と紙の端っこを触れば鋭利なそれは僕の人差し指の皮を切った。
真っ赤な血が溢れてきて、死喰い人になった今も昔と変わらず真っ赤な血が流れているものなのかと、そんな考えが浮かんできた。多分、他の人間と一緒の部分が見つかって、少し安心したのだと思う。

　
『ドラコ…』

苦しそうなAの声が聞こえてきて僕の意識は現実世界に引き戻される。
そうだ、血を見て何かを考えている場合ではない。

早くこの血を消してしまおうと未だ浮かせているポットをテーブルの上に置いて、杖で傷跡をなぞる。
エピスキーで事足りるような傷跡から出る血でも、彼女にとっては辛いものなのだ。

　
　
とはいえ、この間のポッターをマグルの家からウィーズリーの家に移した時にも血は流れていたはずなのに、そこまで何かを感じていたと言った様子は見られなかったはずだ。
もちろん僕はそこにいたわけではないし、父上に又聞きしただけなのだが。

今は落ち着いて眠っている彼女のベッドの横にレモン水が入ったカラフェを置いておく。
母上曰くつわりの時は柑橘類が摂取しやすいとかで、僕が裏になるレモンの木から直々に一つとってきたのだ。