妊娠 ページ26
「…A」
レギュラスが色々な作業に追われている中、私はマルフォイ家にお世話になっていた。
今まで住んでいた屋敷に居続けては領民に被害が行ってはいけないから、そして何よりここに居た方が話が纏まりやすいからである。
血生臭いという欠点はあるものの、まぁ…円滑な準備のためと思えば…
と、思っていたのだが、どうにも気分が優れなかった。
マルフォイ家の屋敷しもべが用意してくれる料理に手はつけられなかったし、今まで以上に喉は乾くし、吐き気はするし。
本当に何が起こっているのだろうか。ストレス性のなんらかなのだとは思うけれど。
魔法省で新しく魔法生物規制管理部部長の席をもらい、働いて、吐いてを繰り返して生きていた。
なお、部長の座についたと言っても今までの仕事の高等魔法生物の管理と大差はない。強いていえば、管理対象が人間にまで及んでいるということだけだ。
「ちょっと、A、少しは休みなさい。」
書類整理に没頭していた私の集中力はシシーさんに切られる。
彼女は私の前に積み上げられていたものを杖で何処かへ飛ばして、その代わりにおかゆのようなものとスープをおいた。
『わぁ、ありがとうございます。』
胃のあたりがムカムカして正直なところ何も食べれるような状態ではないのだけれど…これ以上心配をかけては彼女がかわいそうだと、とりあえず手を付ける。
…だめだ、どうしても食べれそうにない。
スプーンに乗った、普段ならすぐに食べるような美味しそうなそれも、どうしても口に運ぶ気にはならない。
「A、単刀直入に聞こう。
最後にレギュラスと致したのはいつだ？」
ちょうど部屋に昼食を運んできたドラコはかわいそうなほどむせ始めた。
トレーの上のお皿をガチャガチャいわせて焦っている。
『…子供ができた、と言いたいのですか？』
「可能性がないわけではなかろう。」
彼女は私をまっすぐとみた。
顔を真っ赤にしたドラコは居心地が悪そうに、近くのテーブルにトレーを置いて、呼吸を落ち着かせている。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
