お金 ページ18
「贈与税で最終的に1.5倍ほどの値段がかかることになりますけど…」
魔法界の不動産屋はこの人正気なのかな、と書類と私の顔を行き来する。
全く持って正気である。
オックスフォードから程よく離れた緑あふれる土地の一軒家。おおよそ４０万ガリオン。
これから誰も不動産なんて買おうという思いつきに至らないだろうと言うことで、お金を流すことにしたのだ。
それに私たちが溜め込んでいたお金もここ最近は減るどころか増える一方。放出するなら今がその時である。色々と値段が下がってきているのもあるし。
『いいんです。
そうだ、もし良ければインテリアデザイナーの方を紹介してくださらないかしら。フランス調の家具を揃えて欲しいのだけれど。』
「え、えぇ。もちろん。
すぐに手配いたします。」
彼は素早くフクロウに手紙を持たせて窓から放った。
乱暴なまでに早かったからか飛び立ってからも少し怒っていた様子だったが、茶色の鳥は真っ直ぐ飛んでそのまま風景と同化した。
『この辺の書類は全て私のところに送ってください。
ほかは新居の方に。』
最後のサインを書き終えて、席を立つ。
さて、次は何をしよう。
ーーーーーー
『投資しよう。』
その一言でレギュラスと私はお世話になった店のリストを作り始めた。
ニンバス競技用箒会社、テイラーロックハート、WWW、シユウが起業しようとしている店、漏れ鍋、ホグワーツ、とにかくたくさんの店を挙げていく。
「そうだ、ホグズミードに移転させたあのベジタリアンカフェを死喰い人がホグワーツを占拠する前に他に移したいのですけど。」
彼の都合であそこに移ってもらったのだからと、レギュラスは最優先事項のところに書きこんだ。
『場合によっては国外も考えた方がいいかもしれません…ないとは思いますけれど、ブラック家との関係を洗われたりしたら。』
「確かに。手紙で打診してみます。
ただこの辺りが好きな方なので…ロックハートが住み着いている村に空き物件を探しておけば少し安心かもしれません。」
『わかりました。代案としてそちらの物件は私が見ておきます。』
投資とは簡単に言えば、お金を動かしながら増やすことだ。
どこかの店や企業に新しいことを始めるためにお金を貸して、でも私たちは返してもらうつもりなどなかった。
みんなの生活が少しでも楽になればと、罪滅ぼしの意味もかねてただただ助けたいのだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
