経路 ページ27
「君たちがどうして言えないのか、それは問題じゃない。」
不審げな表情のハーマイオニーを遮る様にロンはそう言った。
未だ傷跡をもむハリーをチラリと見ると、彼はうなずく。
「そう、問題は、僕とAがおんなじ幻覚を見たことだ。」
私を真っ直ぐと見るハリーから目が離せない。
目をそらそうと思えば思うほど、何かに囚われて…
「…貴方達、今から助けに行こうなんて思ってるんじゃないわよね？」
ハーマイオニーは疑うかの様に問うた。
そろっと、神経を逆撫でしない様に。
「思ってる。
だって、シリウスが拷問されてるんだ！見なかったことにするなんてできない。」
「ダメ。絶対に！」
ハリーの主張に反対する彼女の声で、近くにいたルーナ、ジニー、そしてネビルがやってきた。
何事かと階段に座り込む私たちを心配そうに見下ろす。
「本来なら、俺は先輩として止めるべき立場なんだろうけど。
後悔はして欲しくないからなぁ…」
「そうだね、行くなら僕も協力する。何ができるってわけじゃないけど、いないよりマシでしょ？」
リーとシユウ先輩は立ち上がり、ハリーと手を取り合った。
二回パシンと軽い音がして、掌がぶつかり合う。
「シリウスを助けに行くなら私達も行くわ。」
「アンタには教えてもらった借りがあるからね。いいよ。」
ジニーとルーナも参戦する意思を表明して、ハーマイオニーは止めるに止められなくなった。
最後の砦と言わんばかりにレギュラスと私を見るが…
…私達だって何かを言えた立場ではない。
そもそも、今回は敵側にいるのだから。
『ついていくことはできませんが…そこまでいくための経路を。』
ーーーーーー
混乱に乗じて、唯一監視されていないであろうアンブリッジの部屋の暖炉を目指す。
あそこからなら、魔法省に通じているはず。
『いいですか、原理はフルーパウダーを使った普通の暖炉と一緒です。大人数で一緒に移動できるだけの。
神秘部へいくにあたって、一番いい道は３階の南の奥にある無人エレベーターでしょう。それなら生徒が神秘部にいくことを疑問に思われにくいです。
そして神秘部ですが…あの部屋は厄介で…』
ガチャっと大きな音を立てて背後の扉が開いた。
エヘン、と変な咳払いが響いて背筋が凍った。
「皆さん、何をしていたのか聞かせてもらえますわね？」
頬を赤く染めた彼女は楽しそうに微笑んだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
