【ハリーポッター】吸血鬼少女は戦う【１１章】 (ページ1)

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いろんな記憶が飛び交う中、私は出口を探そうと辺りを見回した。

目に入るのは現実世界へのドアではなく、私のと知らない記憶。
…つまりは、おそらくセブルスの記憶だった。

［Aはん、しゃんとしおし。もうじき帰ってきはりますえ。］

［お前なんて、産まなければ！］

［どうか硬くならないで、私はレオナード・ディヴィン。
気軽にレオとでも呼んで。］

［なんでそんなことができるの…妹と同じ化け物だわ！］

［最愛なる娘へ。こんな形で別れを告げることになってーーー］

［君がスリザリンに入寮した半純血くんだね…？私はルシウス・マルフォイ。好きに呼ぶといい。］

［なぁ、ドール。弟、レギュラスのこと…どう思う？］

［穢れた血…そうよね、セブ…私はどうせマグル生まれ…］

［ねぇ、セブルス。貴方は本当にそれでいいの？］

［我輩は、闇の帝王をーーー］

　
　
シャボン玉が何かに触れて割れた。
衝撃は特になく、気づけば戻っていた。そんな感覚だ。

能面のように感情を感じさせずに立ちすくむハリーは息を切らしている。
入り込む側も魔力の消費が半端ないからまぁそうなるだろう。特に初めてやったなら。

右手で顔を覆うようにして、セブルスはハリーを睨みつけた。

何かを言おうと口を開いた瞬間、上の方で悲鳴が聞こえた。
甲高く、何かをつんざくようなその悲鳴は地下室までよく響く。

玄関ホールの方からだろうか…？

　
「ここに来る途中、何か異常なものは見なかったか、ポッター？」

顔をしかめるセブルスは聞いた。
でも、ハリーがここにきてからゆうに３０分は経っているだろう。

…それに、今の時期だと確か…

そう。トレローニー先生の解雇事件だ。

『この声、トレローニー先生かもしれません。
アンブリッジがちょうど解雇したがってましたから…』

次々と起こる理不尽な出来事に頭痛が痛くなる。
あぁ、腹痛も痛い。全部痛い。
人ひとり包めるくらいの大きな絆創膏を持ってアンブリッジのところへ…

それにしても悲鳴は尋常じゃないうるささだろう。
防音対策は魔法がかかってないとはいえ、一応ドアだってついているのだから…

念のために杖を構えたままセブルスはつかつかとど研究室のドアに向かい、素早く出て行った。
私はチョーカーを再び首元に装着し、ハリーとともに後に続いた。
　
　