眠り ページ47
「お疲れ様です、ドラコ。
あ、お邪魔しますね」
屋敷の裏側にあるドラコの部屋に窓から入って来た、普段は常識人のレギュラス。
私がそういうことしたら怒るのにどうしたってんだ。
「玄関に気味悪い探知魔法が張ってあったんですよ。
十中八九、九割九部、あの人なんでしょうけど。」
つまり、会議にはこないのにマルフォイ邸に来てる事が知れたら面倒くさい、という事らしい。
『あぁ、最近大事な時期だからか裏切り者には云々ってうるさいですしねぇ。
多分それで良からぬことを考えてるっぽい人を見つけようとでもしてるんでしょう。』
「え、それ、僕が通ったら若干まずくないのか？」
ドラコの顔色がまた悪化する。
余計な心労をかけて申し訳ない…
『多分、あれは心を読む系統ではなくて、敵意のある魔法が発動しそうになったり、魔道具があれば検知するものみたいですね…
そうじゃなければ、私なんて一発アウトレベルですよー』
あはは、なんて呑気に笑っていれば、ドラコは脱力して今度はソファーの上に寝転んでしまった。
かなり精神力が削られて、疲れて来ているらしい。
…ここは、レナさん直伝の深い眠りについてもらおうか…
必殺、人の温もり…！
ドラコがいるソファーに座り、彼の頭を膝に乗せるようにいった。
もちろん、レギュラスはドラコを睨みつけるし、それ以前にドラコが嫌がるので時間はかかったものの…そのうち根気負けしてくれたようだ。
くるりと指先を回して、向かいのソファーの肘おきにかかっている毛布をドラコの足元にかけた。
一応夏とはいえ、ここは森の奥で年中日が届きにくい方角の部屋だ。寝落ちてしまえば寒いかも知れない…
「な、何をするつもりなんだA」
無駄な抵抗を未だし続けるドラコの髪の毛をゆっくりと撫でる。
昔とは違っておろしているからワックスがついていなくて柔らかい。
…さすがいいところのお坊ちゃんだからか髪の手入れが行き届いている。
左手で彼の頭を撫でて、右手で彼の放り出された腕をポンポンと撫でる。
ゆっくりと、心臓の鼓動と一緒くらいのスピードで…
まぶたが重たくなってきた彼に
残念ながらサキュバスやら夢魔のように強制的に眠らせることはできないけど、眠い人には吸血鬼の能力でもなんとか深い眠りに着かせてあげることはできるのだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
