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「?素直にお願いして了解してくださったのですか?」
目を丸くして尋ねると、クロードが無表情になった。
腹を抱えてキースが笑いだす。
「だ、だから既成事実を先に作ってしまおうと思ったわけですね、なるほど」
「何がなるほどだ。娘!王の気を引きたいのならば、まず全裸になり、服従の意を示せ。
王はお優しい方だ。憐れんでくださるだろう」
一人がけの椅子に腰掛けたままクロードが固まった。
だが、ベルゼビュートの目は本気だ。
一瞬だけアイリーンは真顔になったが、すぐさま笑顔を取り戻し、胸の上に手を置いた。
「それがクロード様のお望みなら」
「望んでない!黙っていろベル、君も脱ごうとするな!」
「では夜会に一緒に出席してくださる?」
クロードが頭を抱える。
キースは笑いすぎてひいひい言いながら、声を上げた。
「い、いいんじゃないですか、夜会。私め、張り切って用意致しますよ!」
「まあ! 有り難う御座います、キース様」
「ちょっと待て勝手に話を決めるな。行くと言ってない」
「王が望まぬことを押しつけるのは我々が許さぬ、人間共」
ベルゼビュートがクロードを守るように一歩前に進み出た。
「人間の夜会だと?
そんなくだらぬものに王の手を煩わせるくらいなら、会場ごと破壊してくれる」
「ベルゼビュート様。あなたは何も分かっておられないのね」
「何だと」
「やめろ、ベル。お前が言いくるめられる予感しかしない」
「世間に知らしめたくありませんの、クロード様の素晴らしさを!」
ベルゼビュートが瞠目した。
片手で顔を覆ったクロードを尻目に、穏やかにアイリーンは説得する。
「クロード様は素晴らしい方でしょう」
「....もちろん、王は素晴らしい方だ」
「でしたら夜会への参加は必須です。
人間達の前に姿を見せてこそ、クロード様への畏怖が形成されるのです。
あなたたちの魔王が輝くのです」
「...王が..輝く.....」
ちらちらとクロードを見るベルゼビュートは迷っている。
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