・ ページ18
.
ベルゼビュートが目を白黒させ、キースが腹を抱えて爆笑した。
ベルゼビュートは上半身は長いベストを羽織っただけで肌が見えている。
いわゆる東国風の格好で乙女ゲームで見ていた時は何とも思わなかったが、
この国でわざわざ肌を見せるなんて常識外れだ。
大体、今は真冬である。
見ていて寒い。
「おい、人間の娘。どうして俺がそんなことをせねばならない」
「クロード様の片腕なのでしょう?
公の場に出ても恥ずかしくないようにして頂かなければ」
「...片..腕?」
ベルゼビュートが心なしか弾んだ声を出した。
これは簡単に操れそうだ。
「それとキース様も....同じ服をずいぶん長く着回してらっしゃる感じですわね。
物持ちのよさは好ましいですが、無精は困りますわ。
きちんとした公の場に出られる衣装はおあり?」
「あー、数年前に仕立てたのがありますねえ。
というのもですね、アイリーン様、聞いてくださいよ。
なんと私、クロード様の見張り兼口止め役で高官のはずなんですが、
クロード様の味方しすぎて給料ゼロなんですよ!額面あるのにおかしいと思いません?」
横領か。顔をしかめた後で、アイリーンは考え込む。
「となると、クロード様にもお金はないんですのね?」
突然、花瓶に活けてある花が一斉に散る。
それを見た従者二人の反応は早かった。
「クロード様傷つかなくていいですからね。私めは、十分人生楽しいですからね」
「王よ、そもそも金銭が必要ならば我々が奪ってくる、片腕故に」
「二人とも黙れ。
___分かっただろう、僕に嫁いでも君になんの利益もない」
「お金なら気にしません。私と
頷いて下さるだけで快適な生活と幸運をお約束しますわ」
「新手の宗教勧誘みたいですねぇ...」
クロードが顔を上げた。ほんの少しだが、感情が出ている気がする。
うんと言わせてしまえばこっちのものだと、アイリーンはクロードに詰め寄った。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ