【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ45)

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第八十五訓ページ45

『お前が…町に火を？』

「……」

男はAを睨み付けたまま何も話さない
その目には確かに憎悪が宿っていた

『…まさか、混乱に乗じて城に攻め入るつもりか』

「ハッ、そんなものに興味はない…俺たちの目的はお前だ、柊A」

『…私？』

下劣な笑いを収めることなく懐から銃を取り出した男はそのまま銃口をこちらに向けた

『お前は…一体…』

ﾊﾟｧﾝｯ

頭一つ分横へめり込んだ銃弾にﾁﾗﾘと視線を向け、もう一度男に戻す

怒りに震える男は先程までの冷静さを失ったのか狂ったように叫び始めた

「分かる訳ねェよなァ！俺たちが誰かなんてっ！」

＿てめェみたいな人殺しは！

＿俺たちがどんな思いで生きてきたか何て考えたこともないだろうよ！

「俺たちァ、絶対に許さない。てめェの大事なモン奪ってやる、かつててめェがやったようにな」

『……』

真選組、なんて組織に属していたら恨みの一つや二つ…十や百買うのは仕方ないことだ

それだけのことをやって来た

それだけ人を斬り奪ってきた

この男の大事なモン、という奴も奪ったのだろう

だからこそAは再び問う

″お前は、何者だ″

己がやって来たことを今この場で受け止めなければならない

しかし次に男が放った言葉は、Aの心を大きく乱すものだった

「…一瀬林太郎、つったら思い出すか？」

『……まさか』

「俺は一瀬森司、あの日てめェが殺した林太郎の……弟だよ、柊師範代」

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「九、十番隊！そっちの方避難急げ！！風向きが変わった、すぐ火の手が回りだすぞ！！」

「火消しはまだか！？着いたらここに回せ！」

「大変です！この混乱で交通網が！至る所で交通事故が多発してます！」

「ﾁｯ、こっちの避難は粗方終わった！五番隊員は交通整理に回れ！」

突如起こった夜中の火災は市民はおろか警察組織や火消し、病院等様々な機関を混乱に陥れた

発火現場は複数
情報が錯乱している中、土方は冷静を保ちつつその場の指揮をとっていた

「近藤さん、城の方は無事か」

「あァ、さっきとっつぁんと連絡がとれた、今の所火事の影響もテロの動きもねェってよ」

「ったく、それが唯一の救いだな。こんな中テロなんか起こされたら身が保たねェぞ」

真選組も市民の避難や交通整理に駆り出され、懸命に動いてはいるが事態の収拾はまだ先になりそうだ

如何せん火消しが足りない、水も足りない
どんどん燃え広がる炎を前に、なすすべがなかった