【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ41)

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第八十一訓ページ41

突然だが、春夏秋冬の中ではどの季節が一番好きだろうか

寒さを乗り越えた草木の力強さ、梅や桜の儚さ感じられる朗らかな春だろうか

青々とした新緑、真っ青な空の下、一仕事終えた後のアイスのなんと格別なこと…そんな小さな幸せ感じられる爽やかな夏だろうか

群青の空に澄み切った空気、虹色に彩られた山、ふわりと漂う金木犀の甘い香りにまどろむ秋だろうか

鉛色の空とは違い一面に広がる銀世界、深々とした静けさの中どこからか聞こえてくる灯油販売車の音楽に耳傾ける冬だろうか

いいや、ない

夏なんて暑いだけだし蝉うるさいし、冷房ないと生きていけないしアイスなんて毎日食べても足りないし、日が長いと私辛いだけだし

温暖化とか言って冬はめっちゃ寒いし、故郷は結構積もるから雪掻き怠かったし、外なんて出たくないしコタツないと生きていけないし

秋とか台風やたら多いし、銀杏(ぎんなん)臭いし、紅葉なんて地に落ちたら汚いだけで風流もクソもないし

まあ要するに

『やっぱり春なんて、大嫌いだ…』

ﾎﾟﾀ…

ﾎﾟﾀ…

垂れているのは濡れた髪から垂れる水滴か、私の血か、返り血か、はたまたこの目から出てくる水か

新月で周りに明かりもないこの場所じゃ、見分けようもなかった

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「御前しるこひとつ」『田舎しるこひとつ』

「な、何でですかァアアア！師匠はこしあん派じゃなかったんですかァアアア！？」

見廻り終わり、帰る前にと立ち寄った汁粉屋で叫ぶ立花をどうどうと宥める

『つぶ餡食べたくなる日ぐらいあるでしょ、全く…やっぱり立花とは微妙に合わないよね』

「クソぅ…今度こそと思ってたのに…」

何故かいつも注文を合わせたがる立花
しかし、今までそれが被ったことは一度もなかった

「え、今年もですか？」

『まあね』

しるこが運ばれてくるまでの間、出された茶を飲みながら世間話をしていた時にそういえば、とAは切り出した

暫く屯所を空けるから、と伝えたところ詳しく説明を求められ一週間休みを貰った旨を話す

「もう少しずらすこと出来ないんですか？」

『いいのいいの、皆で楽しんで』

運ばれてきたしるこを食べている際中も、日程を調整できないのか、としつこく聞いてくる立花

その理由はこれだ

「だって一度も師匠と花見してないじゃないですか」