【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ5)

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第五十四訓ページ5

町並みに移していた目を横に戻すと沖田は相変わらず怠そうな目で次の御手洗団子に手を伸ばしていた

『ってあァ！？それ私の御手洗ィ！！！』

「フガッ、あにしやあう！」

『何しやがる！じゃないでしょ、返せ私の御手洗団子！！！！』

左腕はギプスで固定されている為使い物にならない
動く右手を駆使し沖田の顔を潰しにかかる

『あァ！？マジで食べやがったコイツ！！こんのっ』

「熱っ、あっつ！？」

必死の妨害も虚しく咀嚼され消えた御手洗団子

怒りが爆発したAが手元にあった湯呑の中身を顔面にお見舞いしてやれば、熱々の茶を被った沖田はひィひィ言いながら犬のように顔を振っていた

『食べ物の恨み、舐めるなよ…』

店員から受け取ったおしぼりを沖田に渡し、恨み言を吐きながら席を立つ

「ってコレも熱いじゃねェか！おい、待ちやがれ！」

『もう冬だし丁度いいでしょー』

そう言いながら後ろを振り返れば、Aを追おうとして店員に引き止められている沖田の後ろ姿

取れそうな勢いでこちらに顔を向けたその表情はまさに鬼の形相だった

「柊てめェ！金払いやがれェエエエ！」

その叫びを背に私はそっとほくそ笑んだ

『ざまァみやがれ』

____

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『…こりゃ雲行きが怪しいな』

沖田を甘味処に置いてきて暫く
仕返しができて気分が良かったAは散歩を継続し、気付けば屯所からもかなり足が遠のいていた

そろそろ帰ろうか、なんて考えながらふと空を見上げると雲が流れて青空が見え隠れし始めている

今晴れるのは非常に困る
笠はないし屯所まで距離があるし…
陽が沈むまで雨宿りならぬ日宿りしなきゃならなくなる

せめて日傘はないかと見渡すが商店通りも近くにないし…というかコンビニすら近くになさそうだし

『ハァ…今日は一日曇りじゃなかったの？』

まだ昼間だというのにこれからどこかで陽が沈むまで時間を潰さなければならないとは

さっさと帰ればよかった…

「あっれェ、誰かと思えば柊じゃねェかァ」

項垂れながら天気予報を外したお天気お姉さんに恨みの念を送っていれば後ろから間延びした声が掛かった

『…げ』

「人に火傷負わせて団子代せしめやがった柊サンじゃねェか、あァ？」

キレてる
そりゃもう顔に影が掛かってるもの、真っ黒な影掛かってるもの

『何でこんなところに…ん？沖田…その頭に被ってるもの…』

なんだ、よく見なくても物理的な影じゃないか
沖田の頭には先程までと違い三度笠があった