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第四十八訓 ページ49

午前の見回りはAたち2番隊が担当
近藤、土方、沖田の三人は午後担当のため一緒ではない

もしかすると今日、連日の襲撃犯が現れるかもしれない


『……』

やられた仲間の中にはAが稽古をつけていた者たちもいる
あいつらの仇は必ず討ってやる

そう意気込んでご飯をかきこんだ






「知ってると思うが近頃巡回中立て続けに襲撃を受けている」

巡回前の土方からの喝入れは恒例となっており、その際に注意やらを受けるのも毎度のこと

今回はいつもより眉の寄り具合3割増しで真剣に話している


「編成を少し変え、人数も増やしてはいる。が、油断はするな。隊員は全員永倉の指示に従え。永倉、お前も何かあったらすぐに通信で連絡しろ」


「へい」



長い話が終わりようやく出発だ
2番隊をまとめる永倉に続き屯所を出る

ここ最近の件のせいで皆ピリピリしている
当然だ、数か月一緒にいればそれなりに仲間意識も出てくる

その仲間がやられて怒らない者はいない
それに元々血の気の多い連中だ、浪士組が舐められてばかりで腹が立っているのだろう

『(これが裏目に出なきゃいいけど)』



なんて皆の様子を後ろから眺めながら巡回していると前を歩いていた隊士が遠慮気に話しかけてきた


「あの、柊さん」



笠を少し上げ、こちらを振り返った隊士を見上げて思わず眉を寄せる

『(こんな人、いたっけ?)』



毎日稽古を見てきて全員の顔は覚えているつもりだ

巡回中今の今まで気付かなかったが、この男を見るのは初めてだった


『……誰?』


たっぷり男の顔を見つめた後、Aは意を決して訊ねた


「え?あ、あァ…俺は山崎です」


あっさり答えられた名前もまた聞き慣れないもので…


『はァ…えーっと、山崎、さん?私の記憶が正しければ初対面だと思うんだけど、いつから浪士組に?』


「…え」

『…え?』


ポカンとした顔を向けられ、こちらも同じ顔になる
あれ、この感じは初対面じゃない?うそ


おかしいな、記憶力には自信が…


「あァ!」

戸惑っていた様子の山崎は少しして合点がいったようにポンと手を打った


「俺、殺鬼です!マウンテン殺鬼!」

『マウンテン…殺鬼…?……って誰』

「そこは思い出してよ!」

『あ、思い出した。いつぞやの失禁野郎』

「いやどんな覚えられ方ァ!?」


頭の中でモヒカン男と目の前の男の顔が照合される

同一…人物だと…
何だこの変わりようは…

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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