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第二十七訓 ページ28

「何でお前の大将になるんだよ」


『だって私も浪士組の一員なんだから、そうでしょ?』


「ハッ、お前が俺たちの?ガキのくせに」


『なっ、あんたもガキでしょ、人のこと言えないじゃない』


「うるせェ、俺は近藤さんの右腕だ。大体、女のお前がここにいることだって気に食わねェ」


『…!』


なんだこいつ
顔に似合わず口が悪いし随分突っかかってくる
Aが顔を顰めたのを見て、沖田はほくそ笑んだ


「おい総悟、Aちゃんだって俺たちの同志(なかま)じゃないか、そんなこと言うもんじゃないぞ」


「でも近藤さん…」


沖田にとって近藤は絶対的な存在なんだろう
近藤に咎められると少し大人しくなった

「俺はこんなヤツ認めないですよ。コイツ、この間暑さでぶっ倒れてたヤツでしょう?どう考えても足手纏いです」


「総悟…!」


『言わせておけば…』


ムカつく
足が治っていればこんなヤツ、こてんぱんにしてやるのに


『あんたに認められる必要なんてないけど、喧嘩なら喜んで買うよ。この足が治ったら絶対相手してやる、このクソ栗毛!』


「クソ栗毛だ!?てめェなんて俺の相手にもならねェだろうが、その生意気さ叩きなおしてやるクソ女!」


バチバチと睨み合い同じタイミングでフンッと顔を逸らす

そのことにすら苛立ちを覚えた


「近藤さん!もう行きましょう!」


こんな女らしさの欠片もねェ奴…姉上の爪の垢煎じて飲ませるべきだ、などと態とらしく聞こえる声量で言いながら沖田は先にその場を後にした



「全く…」

呆れたようにため息を吐く近藤だが、何故か表情は少し柔らかさを感じるものだ


「ハハハ、すまねェな、総悟もAちゃんのこと心配してるんだよ」

『心配?あれは心配してる感じではなかったでしょ…』


稽古中の沖田を見て、彼が強いであろうことは分かっている

右足が治ったら絶対に勝負してやる、闘志に燃えるAは心の中でそう決意した



_近藤さん!


暫く歩いて近藤が来ないことに気付いた沖田が叫んで近藤のことを呼ぶ


「おう!すぐ行く!
…ま、アイツは歳の近い友達もいなくて接し方が分からねェだけさ、仲良くしてやってくれ」

「な!」と笑いながら近藤も沖田の待つ方へと歩き出した


『……誰が仲良くなんか』


一人になった広場でそうポツリと言葉をこぼした

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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