第十二訓 ページ13
『(お昼は何食べよう…さっきのカップ麺のせいで完全にラーメンの口だなこりゃ。よし、ラーメンにしようそうしよう)』
一番近い麺屋は、と…
_何回言わせる気だァアア!俺はマウンテン殺鬼だ!テメェら全員ザキかけてやろうか!?
うきうきと行き先を考えながら広場の真ん中を通っていた時、突然モヒカンの男が発狂しながら暴れ出した
_うわぁあ!落ち着いてくださいマリンブルーひろしさん!
_誰一人として名前覚えてる奴いねぇのかあん!?
見境なく当たり散らす男から逃げようと周りは混乱を極めていた
渦中にいたAは逃げ惑う男たちに巻き込まれる形となってしまった
『…!』
殴られた男がAの方へ飛んで来た
それを避けながらさっさとこの場を抜けるべく走る
しかし一度は落ち着いていた喧嘩が場の混乱に乗じてまたも勃発したようで、既に広場ではあちこちで乱闘が起こっていた
_ザラキーマァアアアア!!
『うわっ』
後ろから雄叫びが聞こえた直後、背中に衝撃が走り身体が前方へ吹っ飛ばされた
重たい身体を無理矢理起こし振り返ると、伸びた男がのしかかっている
さっきの衝撃はこの男か
這いずって男から抜け出し身体を起こす
その間も周りは絶賛乱闘パーティ開催中だ
『(というか、ただの内輪揉めな感じだったのに何でこんな騒動に…?)』
流石喧嘩大好き男たち
ウイルス感染のようにあっという間に広まっていく
寧ろ感染しに寄って来てる
『…あれ』
ふと日差しが眩しいことに気付き頭を確認する
被っていたはずの三度笠がいつの間にかなくなっていた
紐で固定していた訳ではなかったため、さっきの衝撃で脱げたのだろう
見回すと案の定少し離れたところに転がっている
これ以上ここにいるとまた巻き込まれる
今度こそ、と立ち上がろうとして異変に気付いた
『(…立てない)』
あれ、足に変な痛みが…
自分の右足に視線を移すと踝あたりが既に腫れだしていた
内出血を起こしているようで紫に変色してしまっている
無理矢理立ち上がろうと試みたが鋭い痛みがはしり、右足に力をかけられない
どうにか立ち上がるまでは出来たが引きずって歩くのも厳しい
杖とか身体を支えるものがないとまともに動けないぞこれ…
周りに人はたくさんいる
しかし、喧嘩に夢中の彼らはAに気付くことなく暴れまわっている
助けを求めるよりも、早くこの危険な場から離れたかった
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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時