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第十九訓 ページ20

『……』

仲間一人護れる強さ、か…


「師匠?大丈夫ですか?」

『何でもない、大丈夫』



_それじゃてめェは……オレたちにタコ殴りにされても素振りでもしてなァ!!

稽古を再開した男たち目掛けて、モヒカンたち一派が一斉に走り出した

「危ない!」

それを見た立花も思わず声をあげる


___ドオオンッ

轟音とともに抉れる地面
砕けた石の破片がパラパラと宙を舞う

男はニヤリと口角を上げた

_我が芋流派の素振りは…人も殺せるぜ


「……」

『……いや、それもう素振りじゃなくね?』



地面を抉る素振りにビビり失禁したモヒカンは、掌返したようにヘコヘコ頭を下げた


_すみません、ほんとすみまっせん!あんたこそ大将に相応しいお人だ!おいてめェら!お前らも頭下げろ!

モヒカン流派の連中は一斉に姿勢を正し頭を下げた


_おう、いつまでもくだらない喧嘩すんのはやめて、浪士組に任務貰えるまで素振りでもしてようじゃねェか

_へい!


「…あの連中を手懐けるなんて…凄い人ですね」

『ちょっとはこの組織も前進してるみたいだね』

「でも俺は浪士組の大将に相応しいのは師匠だと思いますけどね!」

『…それは違うよ』


大将っていうのは、芯の強さを持った人を惹きつける人じゃなきゃ

まさにあの男のような…



「ん?おお!お嬢さん!」

素振りを始めた皆を見渡していた大将が、玄関で話していたAと立花に気付き「久しぶりじゃないか」とにこやかに歩いてきた

「同じ場所で生活してるってのに、中々会わないもんだなァって、その足どうしたんだ!?」

右足のギプスに気付いた途端血相変えて走ってくる

『ちょっとヘマして…』

苦笑いしながら全治一か月だと告げるとさらに悲痛そうな顔になった


「それは災難だったなァ…ん?そちらの方は」

「はい!立花です!柊師匠の一番弟子です!」

『ちょっと、いつ誰が一番弟子になったの』

「…へへっ」

イラっとしたAは立花の頭…は身長的に届かないため肩を小突いた

「い゛っ…小突いたなんてレベルじゃないですよコレ!!」


そのやりとりをキョトンと見ていた男は豪快に笑ったあと右手を前に出す

「いやァ、面白いコンビだ!お嬢さんの師匠が立花殿か!俺は近藤だ、よろしく頼む」

立花の右手をとり、ブンブン激しく振る近藤

「いや、ちょっ、違っ…俺が弟子で…」

立花は完全に近藤の勢いに気圧されていた

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作者名:あまね | 作成日時:2019年2月4日 23時

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