【銀魂】Sleeping Princess (ページ15)

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第十四訓ページ15

医務室で応急処置を受けている間、立花は無言だった

何となく気まずい空気が漂っている
氷袋で冷却しながらしっかり足首を固定し終えた立花はようやく口を開いた

「手当ては一応終わりましたが、これはちゃんと医者に見せないといけないですね。今から病院に行きましょう」

背中に乗ってください
そう言って背を向ける立花

多少の羞恥はあるものの、今のAはそんなこと言ってられない状態
大人しくおぶられ、病院へ連れて行ってもらうことにした

広場に出ると、先程までの騒動は大分落ち着いていた

疲れ果てた男たちが大の字になってあちこちに倒れている

『(眩しい…)』

真夏の…それも昼過ぎの日差しはかなりきつい
気温も高く、調子に乗って暴れまわって熱中症になったりしないのだろうか

彼らを心配する気持ちがミジンコ程よぎったところで『あ』と声を出した

『立花、私の笠を探してほしいんだけど』

「カサ…ですか？」

『そう、頭に被る方のね。さっきはあの辺りに転がってたんだけど…』

広場に残る連中を避けながらキョロキョロと探す

「あ！ありましたよ師匠！」

あそこに！と指さしながら笑顔で振り返った立花は、ポカンとするAと目が合うとハッとして笑顔を消し、「あそこに落ちてるみたいですね」と目を逸らしながら言いなおした

笠を拾った立花は今度は、後ろのAを見ることなくそれを手渡し、歩き出す
そんな立花の様子にAはぎこちなく礼を告げる

『あ、ありがとう』

「いえ」

返事は一応返ってくるが、何だか…

『立花、怒ってる？』

「……」

食堂にいた時よりも明らかに静かで表情がない
油断すると戻るようだが…

「…怒ってますよ」

立花は静かにそう言った

『それは…食堂でのことを？それとも、″師匠″とまで呼んでる私がこんなことで怪我して幻滅した？』

「なっ、違います！そんなことで怒ったりしません！」

『(違うのか…だったら他に立花が怒る要因って何だ？)』

Aが首を傾げたのを見ずとも感じ取ったのか、立花は小さくため息を吐いた

「師匠、さっきどうして手をどけたんですか」

『…手？』

「俺が木刀で受け止めに入らなかったら、あのまま頭から殴られてたんですよ？」

『……』

下敷きになって動けない様子のAを見つけた立花は、広場の状況からあのままでは危ないと判断しAの元へ走った