実践 ページ8
幹部の私を指揮者に、下層部の数人で構成された任務が近々ある。幹部が私だけの任務だから、普段より慎重に、確実に遂行しなければならない。そのため任務の流れの確認をしにジンの元にきた。
「ベルモットとは随分仲が良いんだな」
ジンは資料に目を向けながらそう言った。
『え、うん…なんでよ』
ベルモットとは前から仲良いが、今まで仲良く見えていなかったのだろうか。それともベルモットとの交流で私が何かやらかしたのか。咎められる気がして身構えていると、資料を捲りながらジンが口を開く。
「最近あいつがお前のことを聞いてくる」
『…なんでだろ』
︎︎怒られるわけではないと分かるとそう呟いた。
メールはしてるし、なんなら今日も数分やり取りをした。私の近況ならジンに聞かなくても良いと思うけど…。
「毎回ニヤニヤと聞いてきやがって鬱陶しいからどうにかしろ」
『えぇ？！そんなこと言われても…』
ベルモットがどんな意図なのか分からないし、ジンへの行動を私がやめさせるのは違うんじゃないのかな。でもジンの表情を見るにストレスらしい。可哀想。
「…ずっと気になってたんだが」
資料を全て読み終わり、机にバサっと置くと、ジンはやっとエメラルドの瞳を此方に向けた。
「2週間前、俺が戻ったとき、お前らがニヤニヤと俺のことを見てたな。あの日からあいつがやたらお前のことを聞いてくる」
…2週間前は1番最後にベルモットと会った日ではないか？あの日は定期的に行うハニトラ議論を…。
あ。
殺されそうな話題を思い出すとそれがバレたようで、ぽかんとした私の表情を逃すまいとジンは目を鋭くした。
「あんとき何をしていた」
ベルモットぉ〜！！あれはただの思考ゲームみたいなもんじゃん！流石にジン相手に実践するわけないです！！
ジンを目の前にして初めて、ジンを対象にしたハニトラ法を考えていたことを後ろめたく思った。全て話したら愛銃で牽制されそう…。
なんて乗り切ろうかとジンから目を離さずに悩む。なぜなら離した瞬間銃を構えられそうな気がするから。
︎︎その代わりに不機嫌を加速させるジンの表情がよおく分かるため、じとっと手汗が滲んできた。
「…おい」
『ちょ、ちょっとハニトラ議論してただけよ！』
「それがあいつの行動に繋がるのか」
そうですよね！！眼光をより鋭くしないでください！！
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作者名：ねむとぅ(ー3ー) | 作成日時：2024年2月9日 16時
