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︎︎ただ今のところ不安を煽るだけのため、ベルモットがなんとか俺の快い了承を引き出すのにダメ押しするのも分かる。
︎︎どう出るか見守っていると、低音でこう言った。
『あのメッセージが全てです』
︎︎思わず"そこは俺だと言え"と言いそうになるも、ベルモットが咳払いで被せた。一瞬怪訝そうな顔をしたものの、興味を無くしたように俺から目を離す。
『あなたと私はお客様と店員です。業務妨害で訴えられるかお考えには?』
︎︎冷たいその言葉には、さっきまでの表用ではなく、いつも見る素のAの雰囲気を纏わせていた。
︎︎対応力としては言うことないか。あの男を俺が追い払ったのは不要だったと満足すると、盗聴器を潰して種明かしを始めた。
…
︎︎元彼をみた社員の「また来たわ」。私が新しいバイト先で元彼を認識したのは初めてだったのに。
︎︎フォークを持った手を静止していれば、横から声をかけられた。
「珍しいですね、甘味を前にして考え事とは」
『違和感が…』
︎︎何か私の知らないところで起こっていたようだ。それも元彼の写真を見せたことがないのに彼に変装できていたことから、以前彼に接触したのだろう。
︎︎するとバーボンが顔を顰めて私のフォークを取り上げた。
「盛られたのか…?」
︎︎クリームの跡がついたフォークを見るバーボン。名の知れる店のいちごショートクリームだ。しかも君の購入品だと宥めようとして気づく。
︎︎バーボンよ、味の違和感ではない。
『美味しいよ!?』
︎︎取り返すと考えるのを辞め二口目を味わう。
「そう言えばあの3段プレートの値段覚えてます?」
『うーん、ジンにお強請りしたからな〜』
「…え」
『私は覚えてないよ?ジンもだろうけど』
︎︎何故かバーボンが固まった。
︎︎お店のURLでも送ろうかと見れば、頬を引き攣らせていた。その様子に言い忘れてたなと察し、ドヤ顔で伝えた。
『ジンからのプレゼントでもあったのよ。2人の仲悪いから手を回したの』
︎︎ジンが知らないことは隠したのに、バーボンは青筋を立てた。何故だ。恩着せがましくいい事でしょ、と念押ししていちごを食べた。
︎︎Aと半分こにしたと知れば逆に亀裂となる、とバーボンは静かに苦笑していた。
︎︎そして給料明細で自分が出勤していない日の給料があると気づくが、貰えるものは貰おう精神のAはあの日関連のことを思い返しはしなかった。
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作者名:ねむとぅ(ー3ー) | 作成日時:2024年2月9日 16時