議論 ページ3
ベルモットとハニトラ議論を開催していた。定期的に開催しているこの会議は、中学生の恋バナと同じ効力を発揮し、主に私の声色を明るくしてくれる。
『結論、男は多種多様だから色んな方法を考えよう!ってことか〜』
「そのためには恋愛経験が多くないと」
その言葉で経験人数を数え出す。裏の、本当のAとしては1人とも経験はないが、表の私としてはまだ2.3人としか付き合ったことがない。本来の自分の時間、という名の任務や、表向きの生活があるのに相手との時間を組み込む考えがないのだ。
︎︎しかも初回デートしたその日に振ったこともある私にはハードルが高いなぁ。
︎︎そうぼんやり思いながらはっと気付く。
『えでも歴代彼氏ってタイプ偏るじゃない!』
ちなみに私はスマートで賢い方が好き。しかし好みの男は現れずに初恋以来恋愛をしたことがない。告白されたら付き合うときもあるが、それでも男性のタイプはどことなく似ていた。つまり表の私が付き合うにも傾向があるのだ。
「そうよ。だから敢えて気質の違う色んな男と付き合っていくのよ」
︎︎生業の心意気を語る、頼れるベルモットお姉様。なにを当たり前なことを、という流し目がお美しいこのハリウッド女優はまさに...。
『悪女ぉ〜』
「あら、仕事に誠実と言ってもらいたいわ」
軽く冗談を交えながら、知らないことをベルモットから教えてもらうこの時間はとても楽しい。
そしてさっき頭で数えたが、どう考えてもハニトラを生業とするうら若き愛嬌のある者としての恋愛経験ではない。恋愛経験が少ないことを話すと、あっけらかんとこんな事を言った。
「そうねぇ…。ジンなんてどう?」
何の前触れもなく彼の名前が出てきて口をはく、と意味もなく開閉した。そして初めて聞いた言葉のように繰り返す。
『じん…?』
「貴女のこといたく気に入っているじゃない」
他人事のようにどうせなら付き合いなさいよ、と付け加える。なにがどうせならなのか。
『あんな煙草臭いのにぃ?』
「煙草嫌い克服の訓練も兼ねなさい」
︎︎煙草に異様な執着があると、これまでの私から察せられるだろうか。
仕事外でも煙草の匂いを嗅ぐのが嫌。そもそも煙草なんて周りに副流煙をばら撒くテロではないか。喫煙者は周りに配慮ができない利己的人間だ。誰かさんを見ればあながち間違いのない偏見だと思う。
『じゃあ仮にジンを堕とそうとするなら、どんな方法が向いてるんですかねぇ〜』
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作者名:ねむとぅ(ー3ー) | 作成日時:2024年2月9日 16時