返上(バーボン) ページ17
︎︎10何組後の待ち順ということでジンの機嫌を損なわない内に撤退。…ちなみに本当に待つのが嫌いな人なのか本人に確かめたことはない。
︎︎そしてテイクアウトした。スイーツの組み合わせが何種類かあったため、欲張って2種類お強請りしてしまった。一緒に食べるつもりが、ジンは急遽ベルモット達の任務に合流しなければならなくなったためお預けとなった。
……
︎︎私だけアジトに戻ると、丁度よくバーボンがソファで作業をしていた。
︎︎さて、質問です。私とジン、どっちがバーボンのアイスの借りを返すべきですか。
︎︎私はバーボンが食べていたものが彼の物と知った上で食べた。ここではジンは関係ない。ただ、そもそも私のアイスが冷蔵庫にあれば人に乞う真似はしなかった、というのが私の主張です。つまり、バーボンのアイスの借りは私が払うものではない。
︎︎賛否両論だと思いますが、私はジンが買ってくれた2種類のうち1つをあげることで、バーボンの借りを返すこととします。…ケチではない。
『バーボン』
︎︎呼べばお疲れ様ですと返された。バーボンとは同時期に幹部となったが、彼は年齢や経歴に関わらず敬語を使う。
『アイスの借り、返してあげる』
︎︎そう言って30cmほどの高さの箱をバーボンの目の前のテーブルに置いた。彼は膝の上のPCから手を離し、箱へ目を向けた。そして私を見る。
「…いや、別にいいです」
『目には目をって言うし』
︎︎食べ物の借りは食べ物で返すべきだ。食べ物の借りを任務で返せと言われることが怖いからとかではない。
『あー、毒！もー私たちの仲なんだから"毒味して"くらい言っていいのにー』
︎︎待ってましたと言わんばかりに腕まくりをし、テーブル近くに嬉々として座って箱を開ける。
「食べさせる気あります？」
『失礼な。バーボンが毒味してって言ったんじゃん』
︎︎言ってないですけど、とバーボンの呟きと私の心の声が重なる。でも妙案でしょ。私は2種類食べたい、バーボンは毒が心配。一石二鳥だ。
︎︎右斜め後ろでPCを閉まる音と膝から下ろす気配。食べる気らしい。
︎︎そして箱から出てきた紙の3段プレート。そこには1口サイズのスイーツが20種類近く乗っていた。
︎︎おぉー…。
︎︎2人きりのアジトで感嘆の声が重なる。ぱちんと手を叩きスイーツから目を離さず言った。
『どれからいきますか！！』
「毒味役がはしゃがないでください」
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作者名：ねむとぅ(ー3ー) | 作成日時：2024年2月9日 16時
