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「ねぇ、もっと詳しいお話し聞かせて?誰か、不審な人とか見かけなかった?もしくは何か気になること、とか。」
知りたがるコナン君の言葉に眉をひそめる。河辺さんの今後の容態が不確定な状態である現在、正直、昨日の今日で......私自身あまり思い出したくはない出来事だ。それに、果たして小学生に話して良い内容だろうか。答えは、否、だ。
『ーーあのね、コナン君......』
その時だった。ポケットに入れていたスマホが鳴り響く。
画面を見れば千秋からで、今朝から続いていた彼女の手術が今無事に終わったとの連絡が彼女の母親から入ったという内容だった。彼女の意識はまだ戻ってないし、これからも手術が必要だが、とりあえず第一段階は終えたようだ。よかった.....思わずそう声に出して呟いた。
『ーーーごめん、みんな。私そろそろ帰る。それと次の練習日は本番前日の夕方でどうかな?土曜日。みんな上手だからそのまま本番でも大丈夫かもしれないけれど。』
ええーっと不平不満の大合唱に苦笑した。
『本当、ごめんね。』
自身の食器を片しながら、阿笠さんにお礼を述べる。ミニサッカーボールをバイオリンケースのポケットにしまうと、哀ちゃんにもお礼を伝えた。
「あーっと、僕も明日から用事あるから土曜の夕方からが良いな。A姉ちゃん帰るんでしょ?だったら途中まで僕と一緒に帰ろうよ。」
ね?ね?と可愛らしく左手を握ってくる彼の姿を見れば、断れる筈もない。
コナン君だけズルーーイ!!そんな歩美ちゃん達の声に後ろ髪を引かれながら、阿笠邸を後にした。
『ーーーーそんなに知りたいの?あまり、コナン君くらいの歳の子に聞かせて良い内容じゃないと思うんだけど。』
二人で歩く帰り道、おそらくどうやって私から話しを聞き出そうかタイミングを見計らっているのだろう。あからさまな様子のコナン君に気がついてしまえば、そう問いかけるしかなかった。
「僕なら大丈夫だよ!小五郎のおじさんや新一兄ちゃんによく事件現場に連れて行ってもらってるから!!」
『ーーそ、う。』
それはそれで彼の教育としてはどうなのだろうか。内心、そう思いはしたものの各家庭の事情はそれぞれだろうし、私が口を挟んで良いことじゃない、か。
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