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魔法使いは誰? ページ31

無事に高校に入学した私は、未だ着慣れていない制服を翻しながら河原への道筋を歩く。



『..........はぁ。』



来週末に開かれるチャリティーコンサートの曲目をどうするか.....決められずにいたのだ。そして、更に私を悩ませているのが、コンサートの対象が子供であるということ。それなら聞き馴染みのあるアニソンや童謡をモチーフにした方が良いのだろうか。中々纏まらない考えに、溜息がやまない。


『ーーーへぇ、』



そして目的地である河原にたどり着くと川を挟んだ両脇には、ソメイヨシノの桃色が見えた。まるで道筋を作っているような景色に思わず笑顔になる。


『ーーー桜が綺麗.....』


憂鬱な気分で授業を受けていた私を、クラスメイトが気を遣ってこの河原を教えてくれたのだ。
明日、早速お礼を伝えなければ。







静かにバイオリンを構える。
瞳を閉じて、ゆっくりと弓を引いた。


オズの魔法使い"虹の彼方に"


伸ばされる済みきった音に耳を傾け、身体中から込み上げる懐かしさに胸を震わす。


かかし、ライオン、ブリキの人形とともにオズの魔法使いを訪ねる少女のお話。
色々不思議な出来事があったが、全ては夢で………目が醒めたら、かかしやライオンやブリキ人形はいつも彼女を可愛がってくれる農園のおじさんたちだったという、所謂青い鳥物語だ。


幼い頃に初めて連れていってもらったミュージカル。それが"オズの魔法使い"だった。それがどんなに幼く過去のものであっても、私の中では色褪せることを知らない。私の大切な思い出だ。特に、印象深かった少女の口づさむ"虹の彼方に"は、当時、まだ習い始めて間もなかったバイオリンを熱中させてくれる原因にもなり―――私が、生まれて初めてバイオリンで弾いた曲だった。

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設定タグ:赤井秀一 , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:ミステリー
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作者名:ナツメ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月9日 11時

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