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「…うまいか?」
銀さんの問い掛けに、Aちゃんは笑顔でコクリと頷く。……やっぱり素直だ。だれもが癒されるような可愛らしい天使の笑顔だった。
「そうか…そりゃー良かった。」
彼女の笑みを見れたのが嬉しかったのか銀さんが誇らしそうに笑った。それから、銀さんがAちゃんの頭に手を伸ばそうと身を屈めたその時。
僕の脳裏にはすぐさま先程の光景が蘇った。
「銀さん!Aちゃんは…」
ビリビリ!!
特有の効果音と、一瞬見えた光。
銀さんは、その現象とおそらく身体に走った電気対して、確かに驚いてはいた。けれど、それも一瞬のことで、電気が流れるのもまるでお構いなしのような顔をしながらAちゃんの頭を撫で続けている。それにはさすがのAちゃんもびっくりしたようだ。そのクリクリとした両目が、更に大きく見開かれていて、身動き一つしていなかった。
「…銀ちゃん…大丈夫アルか?」
恐る恐ると言った感じの神楽ちゃんの声色。それは僕の気持ちも代弁してくれていた。
「大丈夫…だ。テメェらは手ェ…だすなよ。」
銀さんはそれだけ呟きAちゃんをゆるりと抱き締めると、さらにそれに伴って電流の強さも増していく。銀さんの顔が傍から見ても辛そうだった。
「…ック。」
銀さんの体や顔に切り傷や焦げ跡がつき、衣服はボロボロになっていく。
「銀さん、もう―――」
「ガキ…Aっつたか?オレを含めて、ここにはオメェーに悪さをする奴なんかいねェーよ。ガキはガキらしく、ンなきばってねェーで笑ってろや。さっき、ケーキ食った時みたいによ…」
“これは万事屋流の愛情だぜ?”
銀さんは僕の言葉を遮るようにそう言うとAちゃんを一度撫でて、居間を出ていった。
「銀さん!さっき…」
僕は迷わず、銀さんのあとを追い掛ける。
「あんな電気、屁でもねェーよ。新八…俺、ちょっとでかけてくるわ。」
「銀さん、あの子のこと何か知ってるんですか?」
「………。いや、あんなガキ知らねェーよ?」
「じゃあ、なんでAちゃんが男に怯えてるってわかったんですか?神楽ちゃんは女の子だったから普通にAちゃんに触れられるみたいですけど…」
「さぁな。とりあえず、まぁ、あいつらのことは頼んだ」
そう言って、彼は出て行ってしまった。
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