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ガキはじっと俺を見ながら目に涙を浮かべていて。涙?
「ちょ…待て」
「あーぁ、土方さんが泣かしやした。
きっとこらァ、俺に副長の座を渡してから、死んで詫びねェーと泣き止まないですぜィ?情けねェーや、土方さん。
つーかそのまま死ね土方。」
ボソッと呟いた総悟はそのフイッと横に顔を向ける。どさくさに紛れて言い放つコイツの物言いに、俺の血圧は一気に上昇した。
「それ明らかにオマエの願望だろ!?
なァ、オイ!総悟、てめェそっぽむくんじゃねェーよ!!こっち見ろ!」
『う、うわぁぁん!!』
「「!!」」
俺が怒鳴ったことで驚いたのか、いよいよ本格的に泣きやがった。ガキの瞳からは大粒の涙が次々と溢れてくる。
…その様子を見て本気で弱った。ガキのあやし方なんか当然知らねぇ俺は、どう対応して良いのかが分からず、その場に立ち尽くすことしかできねぇ。
《…大の大人があんな小さな女の子を泣かせているわ。》
《見て、あれ真選組よ?》
《いやだわ、やることはチンピラと同じって本当ね。》
《そうそう、特にマヨラー土方が一番酷いでさァー。》
俺たちから離れたところで、子供連れの母親たちが囁きあっていた。まずい。ただでさえ、評判が悪いウチのことだ。これ以上評判を下げちまうと、真撰組の沽券にも関わりかねねぇ。
「総悟。ここは一旦屯所にこのガキを連れて…」
ちらりと隣を見ると先程までその場にいたはず総悟は見当たらなかった。………。アレ?つーか、ちゃっかりさっきの女たちの輪に入ってんのって総悟じゃね!?
《全部あの土方のせいでさァ。
真選組を良くするには奴が切腹するしか…つーかしろ。》
「よっしゃゃゃや!まずはテメェーからだ、総悟。俺が介錯してやる!」
《…あ、聞こえてやした?》
俺の怒鳴り声を聞いた総悟は、遠くで首を傾けている。……丸聞こえに決まってんだろ。人をおちょくるのもいい加減にしろよ、と内心イラつくも、これ以上騒ぎを起こすのも厄介だと判断した俺は奴に向けた怒りをどうにか鎮めることに成功した。
「チッ、いいからオマエはこのガキを屯所に…」
言いながら一旦ガキの方を向き、先程と変わらぬ大泣きの様子を見て溜息をついた後に、すぐさま総悟の方に視線を向ける。だが、その一瞬の合間に、すでに奴の姿は忽然と消えていた。
そして、思う。
――面倒事俺に押し付けて逃げやがったな、あのヤロー。
「…マジで切腹させっか。」
本気で考えた、今日この頃。
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