真選組っ! ページ15
とにかく俺はガキを連れてようやく屯所に帰ることができた。そう“ようやく”だ。とりあえず、近藤さんに説明するために局長室にガキを連れていこうと屯所内の廊下を歩いていく。その一方で、廊下の反対側から総悟が何食わぬ顔で歩いてきていることに気づいた。
「あ、土方さんおかえりやさい、今帰ったんですかィ。これまた、随分と遅かったですね。」
「総悟、テメェー逃げやがって。」
「何のことだか俺にはさっぱり。それよりどうしたんです?土方さん真っ黒でさァ。副長のくせに攘夷浪士にでも襲われたんですかィ?副長のくせに。」
「…オマエ知ってただろ。知ってたよな!?しらばっくれやがって。なんだこのガキ。触れるだけで嫌がって…挙げ句電撃だぞ!?」
「チッ、生きてたか。さぁ、オレは絶縁体の手なんで、気付きませんでした。」
「今とてつもなくオマエの腹黒さが見え隠れした気がしたんだけど!つーか、テメェー普段どんな腕してんのォォ!?」
実際、ここに来るまで俺はガキとは手をつながなかった。いや、正しくは手をつなげなかった、だ。ガキのわりに整った顔立ちをしてると思ったら、いきなり電流が流れだして…って、んなガキと手なんざつなげるか!!命がいくらあっても足りやしねーと、そんなことを一人悶々と考えていると、急に局長室の戸がスッと開いた。
「おお!トシ、やっと帰ったか。遅かったな!…ん?なんだこの可愛いお嬢ちゃんは?まさかトシのこさえたガキか?」
「真顔で恐ろしいこと言ってくれるな、近藤さん。」
「そうですぜ。土方さんのガキが、こんなに瞳孔が小さいわけがねーでさァ。」
「テメェは少し黙ってろ。そいつは迷子だ。仕方なく連れてきちまった。」
近藤さんがそうかそうか、と笑いながらガキを抱き上げようとする…ってオイオイ、これやばいんじゃねぇーか?
「近藤さ…」
「近藤さん、うかつにそのガキに触れたら危ねェですぜ。嫌がってその体から電気が流れてきまさァ。」
「オイ、総悟、やっぱテメェー知ってたじゃねェか。」
「あ、やべェー。」
「“あ、やべェー”じゃねェェ!!」
「オイオイ、二人とも何言ってるんだ?電気なんて流れてないぞ?」
今にも刀を抜こうとした俺は、ぴたりと止まり(それは総悟も同じだったが)一斉に近藤さんの方を向いた。抱き上げられて、キャッキャッ!!とはしゃぎ始めるガキに近藤さんは口元を綻ばせている。傍目から見れば、親子と言っても通じるような光景だった。
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