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「風呂…明日の朝入っか…」
こうなった以上、どうすることもできない。そう判断した銀時はぽつりと呟くと、Aは言葉を理解したのか、ピョンピョンと跳びはねて身体全体で喜びを表していた。
「…………」
なーんでガキってこんなに素直なんだか…イヤ、コイツが特別素直なのか?馴れれば人懐っこい気がしなくもねーし。俺のガキの頃とは全然違う気がするのは俺だけ?と、自身の幼少期をふりかえりながら銀時はもう一度苦笑する。
「ーーーー仕方ねぇな、」
毛布を被ったまま抱きついてきていたAを銀時はベリッとひきはがし、それごと抱きあげる。敷いてある布団に戻ってすぐにAを降ろすと、銀時は先に潜りこんだ。Aもいそいそと隣に入ってくる。
母性本能ならぬ父性本能だろうか。その必死な様子がどこか可愛いらしく世の中の父ちゃんはこんな羨ましい想いをしてんのか?と銀時は一人ごちた。
『……』
Aにとって枕が高いのか、なんとも寝苦しそうだったこともあり、銀時の腕で腕枕をしてやる。すると同時にAからはニコニコと濁りのない微笑みを惜し気もなく受けたため、それを直で見てしまった銀時の口元がどうしようもなく緩んでしまったのは、もはや生理現象なのかもしれない。
「…」
……いやいや、単なる父性本能だからね。断じて父性本能。決して俺はロリコンなんかじゃねぇ!とその頭の中で弁解を繰り返す銀時だった。
「……と、とにかくだ!ガキはもう眠る時間だ。」
銀時は焦る気持ちをごまかし、かつAが寝やすいように規則的に肩を叩いてやると、案の定うとうと船を漕ぎはじめている。
「んじゃ、おやすみな。」
『オヤス…ミ』
そう言ってすぐにAは寝息をたてた。銀時はおやすみ三秒とはまさにこのことだな、と声をおし殺して笑う。
「………に、しても。」
本当にこいつが俺のガキか?と、先程会ってきた桂小太郎......ヅラから聞かされた話しの内容に眉間に皺を寄せる。こいつと一緒にあったという置き手紙の筆跡は、間違いなくアイツのものだった。手紙の主がすぐに判明したため、先程事情を聞きに行くという名の殴り込みに行ったのだけれど、ヅラはどこ吹く風といった態度だったため張っ倒してきたところだった。
「........戦で垂れ流した俺の血で出来たガキ、ね。」
それから数分後、眠気の限界がきたのか銀時も深く考えることなく眠りについた。
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