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「バァさんよォー。そんなら自分で行った方がいいんじゃねーの?いいのか?俺たちの趣味に合わせちまって。」
「・・・・・・なぁに、私が飼うわけじゃないからねぇ。お願いしますよ。万事屋さん。」
そう言うと水野さんは深々と頭を下げる。僕たち三人はお互いに顔を合わせると、銀さんはため息をはいた。
「顔をあげてくれや。俺たちは万事屋だぜ?そんな頭をさげなくても、ペットぐれェ買ってきてやるよ。ただし、世話までは面倒見切れねェぜ?うちだってでっけェー犬飼ってんだからよ。」
銀さんの言葉に水野さんは頭をあげると、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。これは犬の代金と報酬ーーーーそれと、これは届け先の地図です。そこに・・・そうね、三日後に連れてきてくださいませんか?」
そう言いながら、銀さんはお金と地図を受け取った。
「三日後、ねェー。歌舞伎町三丁目の饅頭屋?バァさん、もしかしてアンタ」
銀さんが何か言いかけた瞬間スゥーと寝室の襖が開いた。
「あらまァー可愛らしいお嬢さんねぇ。」
水野さんの声に僕たちが振り返ると、Aちゃんが眠そうな目を左手でこすりながらやってくる。土方さんたちに買ってもらったという木刀を右手で引きずるように持っていた。
「あ、銀ちゃーん。Aがおっきしたネ。A、こっち来るアル。私の膝に乗るヨロシ!」
「ったく、どうしてこう俺の周りいる女はこうも逞しいのかねェー?普通ここは右手に枕ァーとか熊のぬいぐるみィーとか持ってるもんじゃねェの?何?木刀?誰だよ、こんな教育したのは!?」
「いや、そもそもここにぬいぐるみなんてないですから。Aちゃん、ちょっとの間大人しくしててね。えーとすみませんね。水野さん。とにかく依頼はお受けします・・・でいいですよね?銀さん。」
「あァ。」
僕と銀さんが口を開いた瞬間、それまでボーっと立っていたAちゃんが神楽ちゃんの脇を通り過ぎて水野さんの隣までペタペタ歩みを進めた。
「お嬢ちゃんは……もしかして……」
水野さんが呟いた。
Aちゃんは床にコトリと木刀を置くと、そのまま右手を水野さんに触れようとする。その時、水野さんはそれをやんわり避けるように脇にずれると苦笑をもらした。それを、Aちゃんは不満そうに見つめる。僕らはただ呆然とそれを見ていた。
「…気持ちだけ受け取るわ。」
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