あちらとこちら ページ22
廊下に出て、今自分が閉めた戸を悔しそうに総悟は睨んだ。
『そ…ご…そご?』
鈴の鳴るような可愛らしい声が響くと、思わず自分の腕の中にいるAを見やる。冷えきりそうになった総悟の心がほんの少し暖かくなった。
「Aも今日から土方抹殺隊の仲間でさァ。」
これから起こることを想像した総悟はニヤリと笑いながら、自室へと向かった。
―――――…
ブルル
「どうしたトシ。風邪か?」
「いや、ちょっと悪寒が…」
一瞬過った不快な感覚に首を傾けながらタバコを灰皿に押しつけた。
「ってなわけだ。近藤さん。」
「いや、でもそれはあくまでトシの推測なんだろ?」
オレの言葉にいまいち納得していないのか、近藤さんはあまりはっきりと答えない。
「それはそうなんだが…」
「ひーじかーたさん、危ないですぜ。」
ドガーン
突如殺気が走り咄嗟にオレはその場を避けると、オレが座っていたところが焦げている。煙が晴れると、悪びれもない様子の総悟がいつものバズーカーを持って姿を現した。
「くぉぉうら、総悟ォォ!!Aの面倒見てろと言っただろ!!」
オレは思わず総悟の首元の布をつかんだ。自分のこめかみと口元がピクピクヒクついているのがよくわかる。
「ちゃんと見てやしたよ?土方抹殺隊として、すごい成長ぶりでさァ。」
「オィィィ!!Aになんてことさせようとしてンだ!」
すると死角から鞘に納められたままの刀が自分にむかってくるのを感じると、すぐにその場を避けた。
「あーあ、A、言っただろ?土方さんにむけるときは、その鞘から刀を抜くンでィ。」
総悟の言葉に驚いて足元を見ると、体のわりに刀が大きく、刀を持つどころか刀に持たされているAのはしゃいでいる姿。その姿を見るや、オレは呆然としてしまったが、近藤さんの「オレの虎鉄ちゃーんンン!?」という焦りの声で我にかえった。どういうことだっ!?という意味で総悟を睨む。
「誤解でさァ。オレァ、Aにバズーカーの仕方を教えようとしただけですぜ。途中Aがそれを持ってきて、気にいっちまったらしく放さねェーんで、面白そうだから代わりに刀での土方抹殺法をと…」
「だから、なんでそうなンだよ!!」
とりあえずAからどうにか刀をとりあげて、オレと近藤さんの向い側にAと総悟を座らせた。
「まー、誰も怪我しなくて良かったじゃねェか。」
「オレはそうでもねェーがな!」
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