姫は過眠症【テニスの王子様】×【家庭教師ヒットマンREBORN】 (ページ5)

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独りぼっち待ち合わせ【転生後原作前】ページ5

気づけば沢田奈々と沢田家光を両親に、そして、あの沢田綱吉を双子の兄に持つ沢田Aになっていた。
それから数年が経った現在。

今日は六月六日。
天気は……雨。

『棒が一本ありましたー…葉っぱかなー…葉っぱじゃないよ蛙だよー…』

黄色いレインコートに黄色の長靴、そして黄色の傘。奈々ママには黙って出てきてしまったけど、まー大丈夫だろう。

『六月六日ー雨ザーザー…』

見た目幼稚園児生な僕が、こんな天気にどこへ向かっているかって？それは着いてからのお楽しみ、である。

口ずさんだ歌をもう何回繰り返したか分からないほどになった頃、目の前には〔並盛中学校〕と掲げられた門が見えてきた。

今日は雨のため全員が全員建物の中に入ってしまったからだろうか、グランドには人っ子一人いない。

僕は昇降口に入ると、傘を畳み、長靴を持って校内に侵入した。

――――向かう先は中学校の屋上。

昔を思い出すのはいつだって突然だった。

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氷帝学園初等部五年生の時に屋上で交わした秘密の約束。

"芥川"から"A"へ

"跡部ちゃん"から"司ちゃん"へ

自然と変わったそれぞれの呼び名。6月6日は僕達が仲良くなるキッカケになった日。

『…ったくお前はまだ泣いてんのか？』

『だって…だって…跡部ちゃんが僕のせいで、肩に』

『それ以上はナシだ。今回は俺にも落ち度があった。つーか、ほとんど俺のせいみたいなもんだし。……それよりも、ここ見てみろよ。すっげ綺麗だぜ？ここさ、兄貴達が良く来る場所だってなもんで前に連れてきてもらったんだ。』

ここは氷帝学園中等部の屋上。
フェンス越しに見えた景色は夕焼けで紅く色づき、僕の金色の髪も司ちゃんの灰色の髪も朱く染められていた。
それはもう見事な眺め。
景色もそうだけど、外を眺めている司ちゃんの真っ直ぐな瞳がとても輝いて見えた。

今は服で隠れて見えないけれど、包帯を巻かれた肩は決して痛くないはずはないのに…それすらも感じさせないくらいの真っ直ぐな瞳。

『……ね、跡部ちゃん。この先、何があろうとも今度は僕が君を護る。』

そのためなら僕は喜んで犠牲なろう。今日、君が僕を護ってくれたように…と僕は呟く。

その傷跡の責任を彼女を護ることで報いたかった。そんなことをしても傷跡が消えることなんて、ないのに。