子猫な気分 ページ39
近頃はいつも以上に寒くなって、雪もどんどん降る降る。だからツナたちは休日の学校の校庭で雪合戦しているらしい。本当今時の子供にしては元気だよね。……え？僕？
僕は今暖房の効いた応接室のソファーの上でぬくぬくとしているんだ。だって、あんな寒いとこなんかまっぴらゴメン被るし。
そもそも僕は犬より猫派だからね。飼う、という意味ではなく、なりたいという意味でだけれど。従順なＭより気まぐれなＳ派。負け犬より泥棒猫派だから。え？ちょっと違う？
「A、そんなにゴロゴロしてると猫になるよ。」
デスクで書類整理をしていた恭弥が呆れたように僕を眺めてきた。
『えー？それなら僕は大歓迎！一日中お昼寝し放題。皆から可愛がられて僕幸せにゃん。』
「……………」
『無視？あっそう。別にいいもーんだ。草壁。蜜柑もう一個追加！』
「しかし、Aさん。蜜柑２０個はさすがに食べ過ぎかと……」
『いいのいいの。冬と蜜柑はつき物だよ。いいから早く持ってきて！そんでむいて！』
「……A、そんなに蜜柑食べると肌が異常な程黄色くなるよ。」
『そこらへんは大丈夫。小さい頃３０個位食べても僕だけは平気だったから。あ、でもツナはヤバかったっけ。僕の真似して食べまくった翌日は手足が黄疸みたく真っ黄色になっちゃって、奈々ママが慌てて病院に連れて行ったことがあったんだ。アレは面白かった。』
「……。たぶん、君の体が異常なんだね。草壁、蜜柑あと一個だけ渡していいよ。」
「わかりました。」
『わー。ありがと恭弥ー。』
そして、僕は草壁にむいてもらった蜜柑をパクリと食べきった。
『…恭弥ー』
それを食べ終わった僕には、何もすることがなかった。さて困った。暇だ。
『恭弥ー、僕暇。』
「………」
『ひーまひーまひーまひーま。』
「………」
『暇暇暇暇暇暇暇暇暇―――』
「草壁。」
「……。はい。」
「Aが煩い。君が相手してあげなよ。」
『えー、恭弥は？遊んでくれないの？』
「……。見て分からない？君と違って僕は忙しいんだ。草壁で遊んでて。」
仕方ないなーとブツブツ言いながらも、僕は草壁とトランプをすることにした。とりあえず、トランプと勝者の賞品としてのお菓子(カントリートーム袋詰め)を草壁に用意させる。
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