見つけた手がかり ページ36
『キャッホォォー！』
「こちらフゥ太。うん、きこえるよ、ランキングの星…」
僕は今、恭弥とフゥ太と共にガランとした応接室にいる。先程から、フゥ太の能力による浮力感を存分に楽しんでいた。つまりは空中遊泳してる、ということである。これがなかなか楽しいから止められない。恭弥が呆れたように僕を見上げながら壁際に立っていたとしても気にしなかった。
『僕、一度で良いから空飛んでみたかった―――っ！！』
鳥のように両手でパタパタ動かしていると、突然浮遊感がなくなった。当然僕の体は重力を取り戻し、それに従って落ちるおちるオチル…
「………君って本当に馬鹿だよね。」
けれど、床とぶつかって痛い思いをすることはなかった。恭弥が僕を見事にキャッチしてくれたから、だ。幼馴染様さまである。エヘヘと照れ笑いをしながら、彼にお礼を言って降ろしてもらった。
「A姉の望みのために捜すべき人のランキングが終わったよ！第一位はね―――…」
キーンコーンカーンコーンと、タイミング良くチャイムが鳴り響いた。それも予鈴ではなく本鈴である。
『………あー…チャイム鳴っちゃったね。フゥ太、そのランキングは教室で教えて。とりあえず今は教室までダッシュー！！』
僕がフゥ太の手をとって駆け出そうとしたまさにその時だった。恭弥は僕らの前に立ちはだかる。
「ちょっと待ちなよ。少しくらい遅れたって良いでしょ。君、早く結果言いなよ。」
「え…でも…。」
『ダメぇ！今日は大事な大事なテストなんだよ！恭弥には後でちゃんと教えるから、ね？』
「…………」
『お願い恭弥。』
「……………放課後。」
『了解了解！さ、フゥ太、早く行くよ！』
僕たちはそのまま応接室を後にすると、周りを気にしながらも空いている教室に入り込んだ。
「あれ？A姉、テスト受けないの？」
『テストは簡単だから少し遅れたって僕なら大丈夫。あ、恭弥には秘密ね。…それよりフゥ太、さっきのランキングの一位から十位までの控えを僕に頂戴？』
フゥ太に頼んだランキングは、"僕の望みのために捜すべき人"。僕の望みはただ一つ、司ちゃんに会うことだ。この世界に彼女が存在しなければ、そもそもランキングができないのだから、ランキングはそれ自体が白紙か、司ちゃん自身の名前が描かれるはずだった。
「いいよ。ちょっと待ってて。」
フゥ太は一枚の紙を出すとカリカリカリと書いて僕に渡してくれた。
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