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「お前まさか…」
もし、ディーノが考えていることが本当だとするなら、これほど嬉しいことはない。今まではなんだかんだ言って兄貴分として良いところを見せられなかったからだ。ディーノの絶好のチャンスだった。
「こういうの…苦手か？」
ディーノが呟いた瞬間、Aの体がビクリと揺れて……。
『……っ』
Aは大粒を瞳から溢れさせて、ディーノにしがみついてきた。いきなり泣き出した彼女にディーノはギョッとするが、次の瞬間には我に返ってAを宥め始める。それからすぐにロマーリオと係員がやってきた。ディーノはその場から動けなくなってしまったAを抱き上げると非常口から外へと脱出した。
――――――――…
「まさかお化け屋敷が苦手だったとはな…」
現在は車内。
ようやく泣き止んだのだが、目を赤くしたAはそっぽを向いてムクレていた。ディーノはその様子を見て苦笑しながらも彼女の頭を撫で続ける。
「…ロマーリオ、ここで降ろしてくれ。」
「ＯＫ、ボス。」
車からディーノは降りると、A側のドアを開けて手を差し延べる。膨れっ面だった彼女は、ディーノの仕草にキョトンとしていた。
「ここのケーキ、Aのお気に入りなんだってな？オレが奢るからいくらでも買っていいぜ。」
ディーノの言葉に見る見る破綻していくAの表情。明らかに彼女の機嫌が良くなっていく様子がディーノにはありありと伝わっていた。
『僕、レモンケーキとアップルパイとフルーツクレープとマロンミックスデコレーションが食べたい！！』
Aはディーノの手をとって軽やかに車から降りると、ディーノに「早く」と言って店へと促す。店に入ると、見知った顔がいた。
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