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『こんにちは！現場のAアナです。僕は今病院のとある病室の前に来ています。病院とか医者とか注射とか薬とか好きではない僕がなぜここにいるのかというとですね、なんっと驚くことに』
ガラガラと僕の背後の扉が開く音がした。
「……さっきから煩い。入るんならさっさと入りなよ。」
『もうちょっとだけ待って！コホン！えー…最強と恐れられる風紀委員長様が珍しい、ほんっとうに珍しくも風邪をこじらせて入院しているからです。』
「……ねぇ、君はさっきからなんなの？」
『えへ。キャスターごっこー！』
赤い太淵眼鏡をかけて、マイクを持つ僕。うん、きまってる！！
「……没収。」
『えー、ケチケチ恭弥…』
無表情の恭弥に眼鏡もマイクも僕の訴えも虚しく、全てを取り上げられてしまったため頬を膨らませた。そんな僕の不服な表情にため息をつきながら、恭弥はどこからこんなの持ってきたわけ？とメガネとマイクを掌で弄びながらぶつぶつと呟いている。
なんだよ。風紀委員長ともあろう人がこの間まで風邪こじらせてうんうん唸っていたくせに。僕が応接室に行かなかったらどうなっていたと思ってんだよ、まったく。
「さっさと入りなよ。」
促されて渋々と入室する。
隣を見ると、積み重なっているいけにえという名の他の患者さんたちがいて、ご愁傷様…と静かに黙祷を捧げた。僕がそうしている間にも恭弥は自身のベッドに戻ってしまったため、慌てて恭弥の窓側のベッドサイドの椅子……つまりは彼の右側に座る。彼は既に本を読み始めていた。
『ねー恭弥。それ、なんて言う本。』
「宇宙相対論とその概要」
『へー、面白いの？』
「……うん。」
『……………』
「……………」
『…………暇。恭弥…僕、ものすっごく暇。暇すぎて眠くなる。』
僕の我儘に付き合ってくれるのだろうか、パタンと本を閉じてくれた恭弥は僕の顎を掴むと、じぃーっと顔を覗き込んできた。
おうおう、なんだよ。喧嘩でもしようって？流石に病人とはお断りだ。え、違う？じゃあ何。睨めっこ？それも違う？じゃあ一体……。
『……何なのさ。』
首を傾けると、これ見よがしに恭弥は深いため息をついてくれた。
「君ってムード作れないんだよね。少しは可愛らしく顔でも赤らめたらどうなの。」
『…なんで赤くしないといけないの？』
「普通するでしょ。異性と見つめあったら。」
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