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「…ジロ兄？お前の兄はツナだろ。」
突如聞こえたリボーンの声にオレは振り返る。
『…違。ツナ…じゃない』
その途端、彼女は力が抜けたようにオレに寄り掛かってきたため慌ててAを支えた。とりあえず、リボーンに指示を仰いで、Aを彼女の部屋に運んだ。ベッドに寝かせてはみたものの、Aは先程よりもますます苦しそうに呼吸をしていた。
「さっきの話しは、一体どういう意味だ？リボーン。」
「…さぁな。」
リボーンは冷却シートを彼女の額に貼りつける。
「だが、ツナとAは…」
「そうだぞ。二人は家光と奈々から生まれた血のつながった兄妹だ。それは間違いねェ。」
「ツカサとジロウか…」
「少し調べて見る必要があるな。」
「あぁ。」
そしてリボーンは「薬を持ってくる」と言ってドアから出ていった。
―――…
「なんだツナ、起きていたのか？」
リボーンの言葉にビクリと肩を揺らした綱吉。彼は廊下にポツンと立っていた。
「今日は、なんだかAの具合が悪そうだったから…」
綱吉の言葉にリボーンはそうか、と呟く。
「……その様子だと、会話の内容も聞いていたようだな。」
綱吉の様子が一変して、泣きそうな顔になった。
「リボーン…オレ…Aに一度も…兄って呼ばれたことがないんだ。」
「確かにツナは兄っぽくないからな。」
その言葉にガーンとショックを受ける綱吉。リボーンはニッと笑った。
「だが、何であろうと、下(妹)を守るのは上(兄)の役目だぞ、ツナ。」
リボーンの言葉に驚いた綱吉だったが、家族としてAとどう付き合っていけば良いのかわからない、と弱々しく笑った。
「やっぱダメツナだな。」
「なっ！」
リボーンのため息に綱吉はさらに追い撃ちをかけられる。
「いいか？何度も言うが、Aの兄はこの世でただ一人。お前しかいないんだぞ、ツナ。」
「でも、Aはオレを兄だと認めてくれないじゃないか。」
「だったら、これからなれば良いだけだ。アイツが認めざるをえないくらいの兄に。」
言葉に詰まった綱吉をちらりと見て、リボーンは薬を取りに一階へと降りていった。残された綱吉は、しばらく呆然としていたが、Aの容態を思い出して彼女の部屋へとむかった。
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