御用改めである ページ16
[犯罪三兄弟より]
「ごめんなさい。今日夕飯ないのよ。」
奈々ママの宣告に、家中に衝撃が走った。もちろん僕も例にもれることなく、ショックを受けた一人に入っている。なんでも奈々ママの財布がいつの間にかすられてしまったらしい。
リボーン達はそいつらを殺る気満々な様子である一方で、常識を持ち合わせているツナが酷く慌てている。面白い。さすがにこれは彼らの胃袋を落ち着かせないとマズイと思ったのか、ツナが買い置きをしていたカップラーメンを振る舞うことでこの場はどうにかおさめたようだった。
―――――――…
『おはよう恭弥！』
僕は応接室に入るやいなや、ガバッと恭弥に抱き着くと、恭弥はそれに眉を潜めて溜息をはきながら僕を軽く引きはがす。仕方ないとばかりに恭弥が座っていた皮張りの黒ソファーに僕も座った。
「いい加減、その抱き着く癖直してくれない？」
『いいじゃん、別に減るもんじゃないし。』
「君、僕が群れるの嫌いなの知ってるでしょ？ストレスが無駄に溜まるんだけど。」
『ストレスは禿のもと。恭弥だってまだ若いのに……残念だ。育毛剤買ってこようか？』
「………そんなに咬み殺されたい？」
『冗談ですー。それにどうせなら草壁をサンドバックにしてよ。』
笑いながら言った僕の言葉に丁度お茶とケーキを持ってきてくれた草壁がビクリと肩を揺らす。その様子が面白くてアハハと笑う僕に、恭弥はニヤリと口角を上げた。
「…僕のストレスが溜まったら、君をサンドバックにするよ。それが物事の道理ってもんじゃないのかい？」
『ヤダよ。そもそも武力行使の不良の頂点に道理なんて語られたくないね。こーんなに、か弱い女の子を虐めて楽しいんですかー？』
「か弱い？どの口が言えるの。大体、草壁で遊んで楽しんでいるのは君の方でしょ。」
恭弥の言葉はもっともだ。けれど、悔しいからそっぽをむいてやると、恭弥は隣で深い溜息をはいていた。すでに僕に説教をするのを諦めたのか、薄くて大きな封筒を僕の頭に乗せてきた。
「−−−−−君に頼まれていた今月分の調査結果だよ。」
恭弥の言葉に、僕は慌てて封筒から資料を取り出す。
「君が言っていた、司という人物は少なくとも並盛にはいなかった。」
資料を簡単に要約すると恭弥が言った通りの内容で、僕はガクリと肩を落とす。
僕はお礼を言って、そのまま家路についた。
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