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「傷の具合は問題なさそうだ。明日明後日には退院できるだろう。」
「良かったね、Aちゃん。」
医師から告げられた言葉にホッと安堵する。僕の膝の上に座る彼女を見れば、Aちゃんもニコニコと嬉しそうに笑っていた。
「ーーーありがとうございました。」
医師にお礼を言ってから、彼女を抱っこして診察室を出れば目の前にはラケットを構えた山崎さんがいた。
「あ、Aちゃんの具合は大丈夫だったかい?新八くん。」
なぜ、病院の診察室前でバドミントンのラケットを持っているのか、とかいろいろと言いたいことはある。けれど。
「………………山崎さんの方が大丈夫ですか?」
そう尋ねずにはいられなかった。何せ、患者服から覗くお腹の包帯はところどころ赤く滲んでいるし、顔中は傷だらけ。挙げ句、点滴つきといったところだ。
誰がどう見たって、Aちゃんより山崎さんの方が重傷だと判断するだろう。当然とばかりにコクリとAちゃんも頷く。僕達の様子を見た山崎さんは驚いたように目を見開き、グスリと瞳を潤ませた。
「新八くぅぅぅん!Aちゃゃぁぁん!!」
「ーーーえ、ちょ、山崎さん?」
次の瞬間、気づいた時には僕は山崎さんに抱き着かれていて。僕に抱かれていた彼女も咄嗟に身の危険を感じたのだろう、Aちゃんはビリビリと電気を流し始める。しまった、とそう思ったときにはすでに遅かった。
「「ギャアァァァ!」」
気づいた時には山崎さんも僕もぷすぷすと煙を上げていた。
「だ、大丈夫ですか?山崎さん。Aちゃんもダメだよ。この人は悪い人じゃないんだから。」
そう言うと、彼女は不思議そうに首を傾げている。
「ーーーあ、あれ?」
山崎さんの言葉に彼を見れば、山崎さんは自身に巻かれた包帯を外していた。
「ーーー何してるんですか?」
「いや、あれだけの痛みがなくなったんだよ。Aちゃんの電流を浴びてからね。」
山崎さんの手で解かれた包帯の下の素肌は、受傷したとは思えない綺麗な肌色だった。
「ーーー本当なんですか?山崎さん、」
山崎さんは、丁度Aちゃんの次に診察室に呼ばれる患者だったらしい。タイミング良く呼ばれた彼は、確かめてくると言って診察室の扉の中に消えていった。
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早桃 - めっっっちゃ好きです、、、。これは神作品に出会ってしまったぞ!続きが気になりすぎますゥ゛ゥ゛ゥ゛! (2022年4月5日 23時) (レス) @page31 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - ナツメさん» よろしくです!! (2020年6月11日 7時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - printemps(プランタン)さん» プランタン様、コメントありがとうございます!更新を喜んでいただいて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!! (2020年6月11日 2時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - わーい!更新されてら (2020年6月9日 9時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 常夏さん» 常夏様、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。コメント、ありがとうございます!!今回漸く更新しました。スローで申し訳ありませんが、頑張って今後も更新できればと思います^_^ (2020年6月9日 4時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
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