HOW HER WAS MADE？ ページ44
＊
「今日からこの５年３組のクラスメートになる金烏Aさんです、皆仲良くするように！」
それはそれは、スカしたやつだなって。
赤い目と金色の髪が印象的なそいつは、そりゃあ誰が見たってかわいいだとか、きれいだとか、そういう風に例えるだろう。だけど俺は、そんなことを考えるよりも先に、本当にスカしたやつだと思ったんだ。
『き、金烏Aです、えっと、よろしくお願いします』
…………話す、までは。
俺はすぐ、あ、こいつスカしたふりしてるだけなんだって思った。一生懸命虚勢張ってるところとか、服の裾握りしめてる手が白いこととか、震えてたこととか。見たことあるぞ！って思って、すぐに答えは出た。
散歩の時に自分より大きな犬にであったときのチワワみたいなやつなんだって。
＊
「ねーAちゃんかわいいね、今度おうちいってもいい？」
「ママとパパにもあいたいな、モデルさんなの？」
「前の学校はどんなところだった？」
『あ、え、えっと、おうち………は、お師匠に聞かないと、わからない、かな…………パパとママは一緒にいなく、て、えっと………お仕事はしらないの、あとがっこうは、えっと………こことあんまり変わらなかった、よ』
「え！Aちゃんパパとママいないの！」
そう言われると、ああ、そう、なんだよね……と困ったように眉を下げて笑っただけだった。
「どうして？どうしていないの？」
『あ、えっと、そ、それは…………』
相変わらず困ったように眉を下げて、無理にでも笑っているような顔をしている。言いたくないんだろうなー、って思った。言いたくない、とか、言えない、とか。
かわいそうだな、って思ったのは本当、同情したのだって本当。だけどそれより、そんなことより、俺は、目の前であんなに困って、泣きそうになってるのに笑ってるあいつのこと、どうにかしてあげようと思って、しまって、
「ねー俺さ！」
するん、と声が出た。金髪のあいつも、それを取り巻いていた女子も、何か恐ろしいものを見るような目で俺を見やる。
俺はビックリしてしまった。いや、俺もビックリしたんだ。
「俺さ、瀬呂範太！お前隣の道場に引っ越してきてたやつだろ、一緒に帰ろーぜ」
『あ、え、っわ！』
もしあの場にいて、困ったように、泣きそうになりながら笑っていたのがお前じゃなかったとして、俺は、それでもここに、こうしていられたかな？
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作者名：冬谷 | 作成日時：2020年6月29日 21時
