【文スト】salvation of a saint Ⅲ (ページ29)

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裏取引ページ29

「Aさんは拳銃をお使いになられますわそれも太腿に隠しておられるので長い丈だと邪魔になると思いましたの」

「私もそう思う」

「…と二人から説得されましてそれにこの服は探偵社の皆様の意見が入っていると…」

「それはそうだが…俺は長い丈の物を要望したんだが…」

納得のいかない国木田

「まあまあ良いじゃないか国木田君よく似合っているんだしそしてAちゃんいつまで顔を隠しているつもりなんだい？」

ギクリとするA

「如何して顔を隠してるの？」

敦の疑問に一同頷く

「さあさあAさん！お披露目ですわ！」

「嫌だ！！」

「……」

鏡花はスッとAに近づきタオルを取り上げた

「鏡花！あ……」

皆がAに目線を向けると腰まであったAの髪は肩下までになっておりウェーブがかけられていた

Aの姿に全員言葉を失った

「…何で誰も何も云わないんですか？」

不安げなA

「よく似合ってるじゃないか」

与謝野がニコリと笑った

「うん！凄く似合ってるよAちゃん」

「ほ本当ですか…？」

「はい！凄く綺麗です！」

口々に褒める一同

Aがホッとしているとナオミ鏡花太宰の三人が何やら集まっていた

「ナオミちゃん鏡花ちゃんありがとうね取引成功だ」

「そんな事ありませんわでも約束忘れないでくださいね？」

「勿論さ」

「悪い事した……」

「大丈夫鏡花ちゃん相手ならAちゃんもそう強く出られないよ」

「そうですね」

ビクッとする三人

「鏡花"には"強く出られません」

三人の背後には真っ黒な笑みを浮かべ立っているAの姿があった

「可笑しいと思ったんですよあまりにも短すぎる丈どんなに抗議しても聞き入れてもらえなかったですしそれに髪まで整えようなんて云い出すんですから」

「えっと… これには…」

「お落ち着いてくれ給えAちゃんこれには深い事情が…」

冷や汗を流すナオミと太宰

「それは」

拳銃を取り出し銃口を太宰へと向けるA

「後でゆっくり聞きますね」

ニコリと笑みを浮かべるA

その直後探偵社には悲鳴が響き渡った

Aちゃんは敵に回すと大変なんだな

敦は心からそう思った

「(アレ太宰の好みだな)」

乱歩は購って来て貰った駄菓子を摘みながらそんなことを考えていた