60秒 ページ32
「だからこそ 素人あがりの探偵になど任せられん」
箕浦は云う
「さっさとー」
「おーい 網に何か掛かったぞォ」
警官が叫ぶ
「何です あれ?」
「証拠が流れていないか 川に網を張って調べているのですがー」
「ひっ 人だァ!」
騒めき始める警官達
「人が掛かってるぞォ!」
「何だと!」
「まさか……」
「第二の被害者!?」
然し 網に掛かっていたのは太宰であった
「やあ敦君Aちゃん 仕事中?おつかれさま」
「「ま……また入水ジサツですか?」」
驚く敦 呆れるA
「うふふ 独りでジサツなんてもう古いよ敦君Aちゃん」
「「え?」」
「前回 美人さんの件 そしてAちゃんの件で実感したよ 矢っ張り死ぬなら心中に限る!独りこの世を去る淋しさの何と虚しいことだろう!」
ぞわっと鳥肌が立つA
屹度向こうもそうなんだろうなあ
「というわけで一緒に心中してくれる美女募集 まあ私的にはAちゃんが一番候補かな」
「絶対に嫌」
「え?じゃあ今日のこれは」
「これは単に川を流れてただけ」
太宰はドヤ顔をして云った
「なるほど」
「納得出来てない」
合流(?)をした太宰に事件の概要を伝える
「何と かくの如き佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは……!」
太宰は蒼白な顔で叫ぶ
「何という悲劇!悲嘆で胸が破れそうだよ!どうせなら私と心中してくれれば良かったのに!」
「……誰なんだ あいつは」
「同僚である僕にも謎だね」
「しかし 安心し給えご麗人 稀代の名探偵が必ずや君の無念を晴らすだろう!ねえ 乱歩さん?」
太宰は乱歩に同意を求める
「ところが 僕は未だ依頼を受けていないのだ 名探偵いないねえ 困ったねえ」
すると乱歩は若い警官を見る
「君 名前は?」
「え?」
乱歩に指された警官は驚く
「じ 自分は杉本巡査です 殺された山際女史の後輩 ーであります」
杉本の肩に手を置く乱歩
「よし杉本君 今から君が名探偵だ!60秒でこの事件を解決しなさい!」
「へぇッ!?」
「へっ あ えー!?いくら何でも60秒は」
わああああと慌てる杉本
「はい あと50秒」
そんな杉本を無視する乱歩
「(普段の僕 きっとこんな感じなんだろうなあ……」
「そ……そうだ 山際先輩は政治家の汚職疑惑 それにマフィアの活動を追っていました!」
「「(マフィア……!)」」
「そういえば!マフィアの報復の手口に似た殺し方があった筈です!もしかすると先輩は捜査で対立したマフィアに殺されー」
「違うよ」
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作者名:aurora | 作成日時:2019年3月10日 22時