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運命論者の悲み ページ27

Aが目を覚ますと白い天井が目に入った

「…此処は… 探偵社?」

「目を覚ましたかい?」

そう云いベッドのカーテンを開ける女性が一人

「与謝野さん…」

Aは躰を起こした

Aは芥川にやられたことを思い出した

「…他の皆は?敦君に谷崎さん それに…ナオミさんは?」

「妾の"治療"で皆すっかり元気さ」

ほっとした顔のA

「アンタは人の心配よりも自分の心配をすべきだね アンタが一番酷い状態だったよ」

「私なんて…なんともありません」

ニコリと与謝野に微笑むA

与謝野は溜息を吐き

「ったく…如何してこうも無茶するかねェ 太宰に感謝しな アンタたちを運んできたのは彼奴だからね 」

与謝野はAの頭をくしゃりと撫でた

「太宰さんが…」

「それに奴のあのー」

「やぁ 目を覚ましたようだね」

入口から声がした

「太宰さん…」

「向こうでは国木田君が敦君に説教中だよ」

「あちゃ〜…」

「却説 私はAちゃんに話があるかな」

ニコリと微笑む太宰

「…私急に体調が」

「何か云ったかい?」

「イイエ。ナンデモアリマセン。」

この後Aは太宰にみっちり2時間の説教をくらい

太宰からの説教中Aは

こうなるなら国木田さんの方がまだ良かった…

などと考えていた

「そう云えば…何故マフィアは敦君を探していたのですか?」

「敦君にはどうやら七十億の懸賞金が懸かっているみたいでね 一体誰がそんな大金を用意しているのか」

太宰は肩を竦める

「七十億…」

如何してそこまでして敦君を狙うのだろう
何処で敦君を知ったのだろう

Aの頭に疑問が浮かぶ

「…ちゃ …ちゃん Aちゃん?」

ハッとしたA

「険しい顔をしているよ 君の可憐な顔が台無しだ」

「…太宰さんっていつか誰かに刺されると思います」

Aは大きく溜息を吐いた

「はは 笑えないことを云うねぇ」

胡散臭い笑顔を浮かべる太宰を見てAは

きっともう経験済みなんだろうなぁ

と考えた

Aが医務室から出て行くと

「与謝野先生 意地悪も程々にしてください」

「おや それは悪かったね なんせアンタがあんな表情して来るなんて珍しくてねェ」

"与謝野先生 彼女を治してください"

与謝野はクスクスと笑う

「流石の妾でも驚愕したさ」

「私はいつでも真剣ですよ」

太宰はニコリと与謝野に微笑み、医務室を後にした

「やれやれ…」

そう云い与謝野もまた医務室を後にした

黒蜥蜴→←太宰治という男



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作者名:aurora | 作成日時:2019年3月10日 22時

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